旅行サイト「手数料1割」に抵抗するホテル勢 じゃらんや外資の攻勢にリアルが目覚めた
「ホテルを公式サイトから予約すると価格が高い」というのは、もう時代遅れの先入観にすぎないのかもしれない──。
この9月のシルバーウイーク。「ヒルトン東京」(新宿区)に予約して泊まる場合、ヒルトン公式サイトと、「じゃらんnet」「ブッキングドットコム」などオンライン旅行サイトを比べると、価格は1泊4万8000円前後でほぼ同じだ(税等込み)。
運営する米ヒルトン・ワールドワイドは今年2月から、「ストップ・クリッキング・アラウンド」(あちこちクリックするのはやめよう)なるキャンペーンを、世界4500軒のホテルで展開。過去最大の広告費を投じる狙いは、自社サイトへの予約誘導である。「ヒルトンHオナーズ」会員は、公式サイトから予約すれば、割引やポイント還元、無料WiーFiなどの特典を受けられるという。「ネットでクリックを繰り返さなくても、直接予約すれば特典が得られ、費用も節約できることを訴えた」(クリス・シルコック副社長)。
今年3月には米マリオット・インターナショナルが米スターウッドホテル&リゾートを136億ドル(約1.4兆円)で買収することを決めた。2018年には互いの会員プログラムを統合、世界5500軒以上のホテルで特典を利用できるようになる。業界ではリアル同士、スケールメリットの追求に走る。
巨大化してしまった旅行サイト
ホテル運営会社が多額の費用をかけてまで、会員の囲い込みに必死になるのは、巨大化しているオンライン旅行会社に対抗することが、その理由の1つだ。
インターネット普及が生んだ代表的なビジネスに、オンライン旅行会社がある。世界2強は米エクスペディアと米プライスライングループ。エクスペディアは、米マイクロソフトの一部門として1996年に創業、1999年に独立した。プライスラインも米国発祥で、後にオランダのブッキングドットコムを買っている。
両社のアプリやウェブサイトを通じ、予約されたホテル・航空券の取扱高は、2015年度で約6兆円ずつと圧倒的な規模で他を寄せ付けない。国内では、リクルートホールディングスの子会社が運営する「じゃらんnet」、楽天の「楽天トラベル」といったブランドが著名だ。
これら予約サイトは、低価格やユーザーの使い勝手のよさ、さらに口コミなどの独自情報を武器に、爆発的に拡大。JTBなど伝統的な旅行会社を追い抜き急成長した。
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