韓国30代男女に「おひとり様」が激増する理由 「1人焼き肉」店やコンビニ弁当など商機拡大
学習机のようなテーブルが同じ方向にずらりと並んでいる。テーブルの上には小さなコンロがひとつ…。入り口の「On my own」の文字が目を引くこの店は、ひとり焼き肉を楽しむ、「おひとり様」向け焼き肉店だ。
韓国といえば、食事は皆でわいわいと賑やかに楽しむことが一般的、だった。数年前までも1人で食べている人は「友だちがいないんじゃない?」「非社交的で少しかわいそうな人だね」という視線がつきまとった。実際に筆者が1人で食事をするというと「1人でしかも女性が…」と目を丸くする人や、かわいそうにという憐憫の表情を浮かべられた。
オープンしたての「1人焼き肉」店も大盛況
それが、この2、3年の間に1人で食事をすることを好む「ホンバプ族(ホン=ひとり、バプ=ご飯)」が急増。1人で食事をする人へ向ける視線もがらりと変わった。
そんな流れに商機を見た社長のハン・ジンスさん(35)がひと月前にオープンした店が「独孤ジン」だ。店名の「ジン」は自身の名前から取ったという。
「以前は弁当屋を営んでいましたが、ホンバプ族が増えていることを目の当たりにして、なかなか1人では入りづらい焼き肉が楽しめる店を開店しようと思ったんです」(ハンさん)
店の立地は、まず1人や2人世帯が多く住む地域を探した。目星をつけた後は店の家賃を考慮して、ソウルから電車で40~50分ほどの郊外である富川市に決めた。富川市には、家賃が高騰するソウルのマンションを避けたシングルや若い夫婦も多く住む。
店が入るマンションも少人数家族を対象にしていて、近くにも同じようなマンションが立ち並んでいた。従業員は厨房担当のスタッフ1人と忙しい時間帯にアルバイト1人が入り、ホールは社長のハンさんが担当している。
「損益分岐点を超えるのには早くて半年、1年はかかると覚悟していたのですが、おかげさまで、ひと月で目標売り上げを達成しました。正直、驚いています。お客さんは男女ともに30代から40代で女性も多い。ただ、夜は会社帰りの男性客が多くて、だいたい1人で2人前と焼酎(韓国産)を注文するお客さんがほとんどです」(ハンさん)。
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