いつまでも「お医者様は神様」ではいけない 医師を「教育できる」患者になるまでの5段階

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もし、医療者が患者側の意志をまったく配慮しない頑固親父タイプであれば、患者は不本意な医療を受けざるをえません。しかし、もし、医療者が患者中心に考え、患者の持つ価値観や人生観を配慮できる人であれば、患者はその人に合ったよい医療を受けられます。

第1ステップと同様、よい医療者・よい医療機関に出会うことがよい医療を受けるために必須であり、自分に合った医師や医療機関の選択がカギとなります。

医療機関や医師が、どのような医療を提供しているかの情報開示は今後進むだろうし、患者側が医療機関を評価し公表できるシステムの構築も今後できてくるでしょう。患者と医療者の関係性は時代とともに変わっていくのです。

患者と医者が対立したとき、不信感を解くには?

第3ステップ 積極的懐疑

このステップでは医療者に対して自分の意見を述べられるが、うまくコントロールして伝えることができず、お互いの感情がぶつかり合い、反発し、患者と医療者が対立する構図になります。

医療者がうまく対応できれば、対立にならず協議し合意に達することができるかもしれません。ただ、単に高度な医療知識と技術の提供者であろうとするならば、患者と医療者は対立の構図になります。患者は抑え込まれて不満を抱えたままで医療を受けることになったり、その医療機関を離れることになったり、あるいは裁判などに訴えるという結果になる可能性もあります。

現代医療や医療者に対して強い不信感を持つ人がよい医療を受けるためには、不信感を解くことから始めなければなりません。現代医療をすべて否定することは、1つの選択ではありますが、賢明な選択ではないと思います。

医療はあくまでも1つの手段であり、道具です。うまく利用すればよいのです。50キロメートル離れた地に移動するのに、徒歩だけではなく車や電車を利用するのと同様に、病気に対して現代医療の知識や技術をうまく利用すればよいのです。

例えば、C型慢性肝炎に対して開発された最近の経口薬は、ほとんど副作用もなく、100%に近い治療効果が得られています。インターフェロンの治療には耐えられなかった人、効果がなかった人でも、簡単に経口薬で治ってしまうのです。このような薬が出現すると、わたしはますます現代医療をうまく利用しなければとの思いを強くします。がんも放置するだけがよいわけではありません、そのような場合ももちろんあるでしょうが。

不信感を解くことは、患者に接する医師だけでは難しいかもしれません。他の医療職として看護師などが間に入ることが有効な場合があるだろうし、同じ病を抱えた患者のアドバイスが有効になる場合もあります。そのような援助を積極的に活かす工夫が必要です。

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