いつまでも「お医者様は神様」ではいけない

医師を「教育できる」患者になるまでの5段階

これは医師の役割の歴史的変遷の裏返しであり、人類の医療の歴史の中で歩んできたステップでもあります。また、個人が他人との関係性において成長するステップにも類似しています。

本稿では、それぞれのステップで、どのような問題が生じ、それを避けるにはどうすれば良いのかなど、患者側ができることについて考えてみます。

あなたは、今、5つのうちどのステップにいるのでしょうか? 1つのステップにとどまっているのではないかもしれません。相手の医師によって、自分の意識としてのステップは異なると感じるかもしれません。また、病気の経過により、ステップは移動しているかもしれません。過去のステップをひきずりながら、新しいステップを歩んでいるのであり、いろいろな局面で過去のステップも顔を出してきます。

第1ステップ 盲目的追従

医療者は命をあずかる特別な専門職であると考えます。医療者の言うことはすべて正しいと信じ、それに従うことが患者の役割であると考え、医療者に「神の手」「神のような判断」を求めます。

病気の対処法には1つの正解があり、それを知っているのは専門家だけであると考えています。医療者の判断により、たとえ悪い結果になったとしても、それを運命として受けとめます。

このような考え方なら、病気になっても考えたり迷ったりすることが少なく、余計な心配をしなくて済むのかもしれません。医療者に対して信頼感を持つことができる良好な関係性の下にあれば、ある意味最も楽です。

慢性病とのつきあい方は「患者の主体性」が必要だ

しかし、よいことばかりではありません。慢性病、とくに生活習慣病、などは、本人の主体性がないと対処することが難しい病気です。患者が日常生活の中で自分の行動を変えていくことが必要とされるからです。お薬に頼っていてよいわけではありません。

難病など、治療の難しい病気では、病気を抱えながら生活する工夫が必要となりますが、それは人まかせだけではうまくいきません。

また、もし医療者が医療を患者のためにするのではなく、自分の研究成果や経営を優先させてしまっていても、医療側を疑うことがないので簡単にだまされてしまいます。偽医者にだまされたり、腕の悪い医者の下で医療を受け続けたりなどの結果に甘んじることになるかもしれません。このステップの人は、まずよい医療機関や医師をえらぶことが何よりも重要です。

第2ステップ 消極的懐疑

医療者の説明に対して疑問を持つことはあるけれども、患者は医療者に治してもらう存在であり、医療者の下にある存在であると考え、医師に対して自分の考えを伝えることなどはできません。医療のパターナリズム(父権主義)を当然のことと考えている一方で、上下の関係性に対して多少疑問も感じており、反抗したいけれども反抗できないという屈折した気持ちを持っています。

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