知らないと後悔する「顔写真投稿」の基本常識 子どもの顔写真をネットに載せてOKなのか

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子ども同士の許可じゃダメだね、その写真を載せることで、どんな危険が起きるか、将来も含めて相手が許可していると思う? それができるようになるのは、もっと大人になってからだよ。ちゃんと相手の「保護者」にも確認して、承諾をもらえているのであれば、先生は何も言わないけどね。
顔が隠れるスタンプが押されている写真の投稿が多い(イラスト:グリー/大室絵理)

 

さて、そんな保護者のみなさん、特にまだ小さなお子さんがいるご家庭では、SNSのお子さんの写真に、顔が隠れるスタンプが押されている投稿が多いですね。「子どもの顔を隠す」、いつの間にか当たり前になった行為ですが、掘り下げていくと、実はコレ結構いろんな話が見えてくるんです。

まず、お子さんの顔写真投稿がきっかけで、変質者に狙われる「可能性」について。日常生活に存在するリスクと比べて、顔写真投稿が大きなリスクといえるか? と考えると、まあおそらくそんなことはないと思われます(あくまで可能性の比較です)。

実際、お子さんの顔写真投稿による変質者事件が増加している、というデータがあるワケでもなく、また以前講演でお世話になった警察関係の方によると、現状では、親子で公園に遊びに行って事件が発生するリスクのほうが、まだ大きい状況だそうです。

ですから、変質者被害という観点では、まだそこまで神経質にならなくて大丈夫だと思います。ただし、これはあくまで「変質者被害」に限った話。実際には、お子さんではなく、“保護者”がどんなリスクを抱えているか、という点が重要になってくるんです。

つまり保護者に対する恨みやねたみの矛先が、子どもに向かう可能性がある、というリスクですね。

著名な経営者やタレントはもちろん、有名な幼稚園・小学校に通う保護者の方々も、不条理な恨み・ねたみのリスクを意識して、早い段階から子どもの顔写真をネットに投稿しなくなるようです。

また意外に多いのが「夫婦間」での誘拐リスク。DVなどで夫から逃げている母子(おやこ)がいて、その子の写真がネットに投稿されれば、当然、夫から見つかる可能性が上がりますよね。ママ友が不用意に投稿した「子どもたち」の写真が、そんな母子に想定外のリスクを発生させることもあるんです。

ネット投稿も、よそ様への気配りが必要

このように、家庭の状況や保護者の考え方で「どこまで気にするか」が大きく変わってくるモノ、それが子どもの顔写真投稿なんです。個性がはっきりしてくる3歳あたりから、必要と思われる場合は、公開範囲の限定・顔へのスタンプで隠すなど、ご家庭それぞれで基準を持たれると良いと思います。

もちろん、「気にしない」というのもアリですよ。そういう方も大勢いらっしゃいます。でもそれは、あくまで「わが子」まで。一緒に写っている友だちの顔写真には十分配慮して、相手の保護者さんの意向を優先しましょう。

だって、よそのお子さんに「お菓子」をあげるときは、アレルゲンの有無など、ちゃんと気配りしますよね。ネット投稿も一緒、よそ様への気配りが必要です。

大人同士、保護者同士でも「勝手な写真投稿」のトラブルは頻発しています。しかも大人の場合は、投稿者本人が「発言力の強いキャラクター」だったりして、言いづらいケースが多いようです。子どもたちの投稿マナーが向上すれば、保護者のマナーも向上するかもしれませんね。

小木曽 健 国際大学GLOCOM客員研究員

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おぎそ けん / Ken Ogiso

1973年生まれ、埼玉県出身。複数のITベンチャーを経て現職。書籍や講演、メディア出演などを通じて「ネットで絶対に失敗しない方法」やネットリテラシーに関する情報発信を幅広くおこなっている。これまでに企業、学校、官公庁などで2000回以上、のべ40万人に講演。著書に『11歳からの正しく怖がるインターネット』(晶文社)、『ネットで勝つ情報リテラシー』『大人を黙らせるインターネットの歩き方』(筑摩書房)、監修に『13歳からの「ネットのルール」』(メイツ出版)他多数。

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