私たちが肖像権と呼んでいるものは、憲法上の「人権」のひとつとしての一般名称、つまり「考え方」のひとつなんですね。平たく言えば「勝手に撮ったり公開したりしてんじゃないわよ」という権利といえます。法律の専門家でも、人によって解釈が違ったり、グレーゾーンみたいなものが存在しているーー。それが「肖像権」なんです。
大相撲のテレビ中継は、お客さんの顔がはっきりわかる状態で放送されますよね。ニュース番組などで流れる「朝の出勤風景」や「台風中継」も、局によっては顔がまる見えになっています。実は、このような状況では「肖像権」は発生しないと考えられているのです。2012年の法改正により、この考え方は、いっそう強固になりました。
一般的に、公共の場所や観光スポットなど、“誰かに撮影されることが予想できる場所”では、隠し撮りでもされないかぎり、肖像権は存在しないと考えられています。バラエティ番組などで、通行人にモザイクを入れているケースがありますが、あれは後からクレームを言われるリスクを避けるためであって、法的な根拠はないんです。
「偶然、誰かが写り込んでしまった場合」はOK
もちろんこれは、テレビだけの話ではなく、ネットでも一緒。たとえば観光名所で撮影した写真に、偶然、誰かが写り込んでしまった程度なら、ネットに投稿するときに、わざわざモザイクを入れて消す必要はありません。
なんだ肖像権ってそんな程度か、なんて思われるかもしれませんが、これはあくまで「公共の場所」などで「たまたま」写り込んだときだけです。ワンショットの写真は"たまたま"じゃありませんし、また本人が「恥ずかしい!」と思うような場所、たとえばエッチな繁華街に向かう姿などは、その写真が本人に不利益を与える可能性があるのでダメです。そう考えると、私たちがネットに投稿する写真で「肖像権を気にしなくて良いモノ」って、かなり少ないのかもしれません。
では逆のケースはどうでしょう? ある小学校で、先生からこんな相談をいただきました。
たしかに、本人の承諾を得ている画像ならば、ネットに投稿しても問題ないという理屈になります。ただしコレは大人同士であればの話。子どもの視野なんてまだまだ浅く狭いでしょう。これまでの人生経験も短く、想定できるリスクにも限界があります。将来のリスクなんて配慮できませんよね。そういうときは、こんなフォローをおススメしています。
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