まず、注意しなければならないのは給与です。5月までは皆さんの給料が上がっていないのです。右表の「現金給与総額」を見ますと、2013年3月まで前年比マイナスが続いており、4月、5月も0.0%と横ばいです。
これだけ「景気がよくなった」と言われていても、給料がまだ、まったく増えていないのですから、多くの人は豊かになったと感じられません。
さらに、物価が上がり始めています。同表の「消費者物価指数」と「輸入物価指数」をご覧ください。モノやサービスの小売価格の水準を示す「消費者物価指数」を見ますと、4月までは下落し続けていたのですが、5月には0.0%まで上昇しています。この大きな要因は、「輸入物価指数」が前年比14.2%と急上昇していることです。パンやマヨネーズなどの価格も上昇していますが、円安による輸入物価の上昇が主な原因です。
今、起こっていることは、輸入価格が上がって、企業がその分を負担しきれなくなり、ついに小売価格を上げざるをえなくなったという「悪いインフレ」が起こっているのです。これでは価格の上昇分が海外に出ていくだけですから、経済にはまったくいい影響がありません。目指すべき「よいインフレ」は、名目GDPが増えて、給料が増えて、需要が増えて、その結果、物価が上がるということですからね。
このように、給料が上がらないうえに物価が上昇するという状況ですから、国民全体から見ると、豊かさが感じられない状況になっているのです。特に低所得者層にとっては、負担が大きくなっていると考えられます。
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