一方、高所得の人や資産を持っている人たちは、株高による資産効果が出ているため、資産の総額が増えています。この影響で高級品の売り上げが増えており、「百貨店売上高」が大きく伸びているのです(下表)。
しかし、先ほども説明したように、全体の給与は上がっていないわけですから、小売業全体の売り上げは落ち込んでいます。「小売業販売額」(右表)の数字を見ると、それほど伸びていないことがわかりますね。つまり、百貨店の売り上げは伸びても、スーパーやコンビニなどの売り上げは減少しているのです。コンビニ全体では5月まで12カ月連続での減少です。今の景気回復は、まだ豊かさが全体に行き渡っていないということです。
このような状況の中で、安倍政権は今年秋頃に来年4月の消費税増税を行うかの判断をします。8月中旬に発表される2013年4~6月のGDPと今年度の税収が判断材料になるということですが、おそらく高い確率で増税が決定されるのではないでしょうか。
ただ、まだ景気回復が堅調ではありませんし、全体の給料も伸びていないわけですから、できれば消費税増税はもう少し先延ばしすべきだと思います。前年度の税収が、見込みより1兆3244億円ほど増えましたから、今年度は想定より税収が増える可能性があります。ですから、増税を半年から1年ほど先延ばしすることは可能ではないでしょうか。
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