フランスの場合は、そのコミュニティづくりを国が促進する仕組みがうまくいっただけであり、その旗振り役が必ずしも政府でなくても良いということだ。
日本でもそういったコミュニティづくりは進められている。DMMが運営する「DMM.make AKIBA」は、モノづくりのためのコワーキングスペースだが、そういったコミュニティの形成を促す役割も期待して設立された。ここには、日本にあるハードウエアスタートアップが集い、投資家や官僚が視察に来るようなエコシステムが整いつつある。
シャープではスタートアップ向けに、大手メーカーの開発現場や量産体制のプロセスを学ぶ合宿「IoT.make Bootcamp」を3カ月に1度開催している。スタートアップにプロダクトの量産方法を学んでもらい、新しい製品が世に出ていくまでのサポートを行っている。
さくらインターネットでは、メーカーやスタートアップ向けに、IoTインフラのことを気にせずにモノ及びサービスづくりに集中できる「さくらのIoT Platform」の提供を開始した。
日本がIoT市場で生き残るには
今後、こういったスペースやインフラが、ハードウエアスタートアップが生まれるための良い土壌となるはずだ。
土壌づくりは進んでいるものの、日本にはそもそもスタートアップの数が少ないだとか、機能しているハードウエアアクセラレーターが少ないだとか、まだまだ問題は多い。
「正直、日本にはまだハードウエアスタートアップが少ない。フランスがスタートアップの量で勝負してくるなら、日本は質で勝負したい。ただ、量が質を生むことも事実なので、量を増やす取り組みも積極的に続けていきたい」と小笠原氏は言う。
また、フランスの例を見ていると、こうした取り組みが世間に知られることも大切であることがわかる。こうしたメディアを通じた発信も業界を盛り上げるためには必要だ。スタートアップ、大企業、政府、メディア、そして私たち自身が協力しあい「空気感」をつくっていくことこそが、日本のIoTムーブメントをつくっていくことにつながるはずだ。
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