「学力が高いだけ」で医者になってはいけない 100万円と1万円の犬、どちらの命が重い?

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そして、黄色のキャラクターが何度か攻撃を受けた後に、画面の中央にいる緑色のキャラクター(正義の味方)が両者の間に割って入り黄色を助けるというものです。

一方、もう1つの動画は、青色の同様な攻撃に対して、画面の中央にいるオレンジ色のキャラクター(傍観者)は黄色を助けず、われ関せずと、その場から反対方向に離れてしまうのです。

この2つの動画を生後6カ月の赤ちゃんに交互に見せた後、赤ちゃんの目の前のテーブルに動画に登場した緑色のキャラクターとオレンジ色のキャラクターを置き、「どちらが好きかなあ」と選ばせると、生後6カ月の赤ちゃん20人中、17人が緑色のキャラクターを選んだというのです。

実験では偶然の選択可能性を排除するため、複数の実験を生後6カ月と10カ月の赤ちゃん計132人に異なるパターンの動画を見せる実験も併せて行いました。

同研究グループの出した結果は、“人間には生来、「正義感」が備わっている可能性がある”ことを示唆しています。この研究結果がイギリスの科学誌『ネイチャー・ヒューマンビヘイビア』に発表されると、ネット上では大いに話題になりました。

医師を目指す子には、正義の心を持ってほしい

もし、この実験の仮説が正しいとしたら、やはり社会集団の形成と正義の心、公共心には何らかの関連性があるといえるかもしれません。ただ、懸念されるのは、赤ちゃん→小学生→受験生と発達段階が進むにつれ、「公共性」「公共心」「正義の心」などが減少してしまっているのではないか、という不安があることです。

都市部だけではなく、僻地にも医師は必要です。そして、どんな患者さんにも分け隔てなく接することも求められます。医師を目指す子どもたちには、この正義の心、公共心を減少させずにいてほしいと願うのは、私だけではないでしょう。

小林 公夫 一橋大学博士、作家

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こばやし きみお / Kimio Kobayashi

専門は医学と法、生命倫理学。現在は生殖医療や実験的治療行為など先端医療の研究に従事している。研究の傍ら、医学部受験生の指導にあたり、医学部受験予備校インテグラ、医学部&東大専門塾クエストで、医学概論、医学部生物学、医学部小論文・面接などを指導。著書多数。代表作にシリーズ累計21万部突破の『「勉強しろ」と言わずに子供を勉強させる法』『新「勉強しろ」と言わずに子供を勉強させる法』「オトバンクFeBe版勉強しろと言わずに子供を勉強させる法」(PHP研究所)、『わが子を医学部に入れる』(祥伝社新書)などがある。『医学部の面接 [3訂版](赤本メディカルシリーズ)』、『医学部の実践小論文 [改訂版](赤本メディカルシリーズ)』(教学社)は医学部受験生のバイブル。医学部入試に関する情報はオフィシャルサイトにも掲載している。

 

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