もの申す脚本家が「恋妻家宮本」に込めた思い 「家政婦のミタ」遊川和彦が映画監督デビュー

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――遊川さんからは、多数派にいかないぞ、という意志を感じるのですが。

ひねくれ者ですからね。人と同じことをやるのは耐えられないんです。「俺はここにいるぞ」「生きているぞ」と主張したい。それにはリスクがありますが、その分、実績を上げればいいだけですからね。ネットでたたかれても、それでもやる。誰にもお勧めはできませんが、そのほうが面白い。別の取材で、座右の銘は何かと聞かれましたが、「わかっちゃいるけどやめられない」と答えました。結局、やめられないんですよ。それでも賛同してくれる人は、少しはいる。そういう人がいることには本当に感謝です。

解釈を間違えたまま撮ってほしくない

菅野美穂、相武紗季ら実力派俳優が脇を固める ©2017「恋妻家宮本」製作委員会

――遊川さんといえば、以前から現場に顔を出す“もの申す脚本家”としても知られています。

いろんな要素があるのですが、やはりどれだけ脚本に書いても伝わらないことが多い、ということです。自分としては読めばわかると思って書いていますが、監督からは「そういうつもりだったんですか」と言われることがいっぱいある。間違えたまま撮られたら、撮り直しが利かないので、だったら先に言っておいたほうがいいかなと思って言っているだけなんです。

もう1つ、役者の芝居を見るのが好き、ということもあります。いい芝居を見ると、とても幸せな気持ちになります。特に思い入れがあるシーンは、どういう芝居をしているんだろうと気にもなりますしね。だから自分のイメージを超えた芝居をしてくれることがベストですし、そういった瞬間が見たくて現場に行くわけです。逆に、つまらない芝居、独りよがりの演出を見ると、思わずカーッとなってしまう(笑)。それこそ「わかっちゃいるけどやめられない」ということですよ。

――役者さんのお芝居がお好きなんですね。

俺はもともと役者志望で、無名塾や文学座なんかを受けたこともあった。人がセリフを覚えて、人前で演じるということが、どれだけ人を感動させるか。時には人を泣かせることもあるわけじゃないですか。これは人間のすばらしい力の1つだと思うんです。

そんなすばらしい仕事にかかわっているからこそ、もっと頑張ろうと思っているのに、最近は「そういう時代じゃないんですよ」とか、「いろいろあるんですよ。大人になってください」と言われてしまう。それでついカーッとなっちゃうわけです。なんでこの年齢になって大人になれと言われなければならないのか、と思いますけどね(笑)。

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