ダウ2万ドルは「トランプのおかげ」ではない

過度な幻想が崩れれば、相場は様変わりする

1月25日、米国株式市場で、ダウ工業株30種は120年の歴史で初めて2万ドルの大台を突破して取引を終えた。1999年3月に初めて終値で1万ドル台に乗せてから2万ドルまで上昇するのに18年近くを要した。ニューヨーク証券取引所で撮影(ロイター/Breandan McDermid)

株式市場はいつも幻想に左右されがちだ。しかし市場の愚かさに目を向けたところで、行き着く先を予測することはできない。  

米金融市場には二つの幻想がはびこっていた。一つは実業家として成功したとされるドナルド・トランプ新大統領が、米国を再び偉大な国にするという幻想。もう一つは、ダウ平均株価が2万ドルの大台に乗るという自然発生的な幻想だ。

ダウ平均は2016年11月以来、1万9000ドルを超えて推移していた。1月25日にはついに、史上初めて2万ドルを突破。今後の市場心理に影響しそうだ。

トランプ大統領が何をするかはまだ明確ではない。ただ減税路線は明らかであり、一連の景気刺激策が資産価格上昇につながる可能性はある。所得税の引き下げが不動産価格上昇につながったり、法人税減税が株価を押し上げたりするだろう。

もちろん市場心理に影響を与えるのは減税だけではない。トランプ氏に本当に事業を成功させる手腕があるかどうかは未知数である。

トランプ似のクーリッジ大統領は大恐慌を招いた

米国にはこれまで、トランプ氏のような大統領がいなかった。あえて近い大統領を挙げるなら、極端に企業寄りの減税を推進し、「米国人の第一の本分はビジネス」との宣言で有名なカルビン・クーリッジ元大統領(1923~29年在任)だろう。

クーリッジ政権下で財務長官を務め、米国有数の資産家だったアンドリュー・メロン氏は、富裕層への減税を実施すれば富が貧しい人々にも「トリクルダウン」する(したたり落ちる)ことになると主張した。

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