中国共産党政権は、2~3年以内に崩壊も 異色のエコノミスト・増田悦佐氏に聞く(下)

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したがって、不動産バブル崩壊で投資プロジェクトが行き詰まれば、資金の出し手や国有企業、民族系企業は打撃を受ける。でも、外資系企業は絡んでいないから影響はほとんど受けない。

ますだ えつすけ 1949年東京都生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修了後、ジョンズ・ホプキンス大学大学院で歴史学・経済学の博士課程修了。ニューヨーク州立大学助教授を経て、外資系証券会社で建設・住宅・不動産担当アナリストをつとめ、現在は株式会社ジパング経営戦略本部シニアアナリスト(撮影:吉野 純治)

中国というのはこわい国で、共産党一党独裁体制の下、全人口の3分の1程度に過ぎない都市戸籍保有者と、残り約3分の2を占める農村戸籍保有者との間で、すさまじい格差が維持されている。

農村戸籍保有者が都市戸籍を取得するのは難しく、彼らの多くは貧困にあえいでいる。

少数の都市戸籍保有者は、共産党独裁体制の恩恵を受けていることも知っている。彼らは常に少数に保たれている。

なぜなら、都市戸籍保有者が農村戸籍保有者を人数で上回ってしまうと、政治や文化の多様性を求め、「多数決で政権が変わってもいいじゃないか」などと言い出しかねないからだ。

全人口の2~3%に過ぎない共産党幹部や官僚、資産家など一部のエリートは、ものすごい金額の蓄財をしている。

そして、それを支えているのが国有企業だ。国有企業は、一部のエリートたちに、たっぷりと利権を配分するのが仕事といっていい。

中国経済はもはや限界、と断言できる理由

――新著『中国自壊』(東洋経済新報社刊)では、中国の資源浪費バブルは、もはや限界に来ており、近いうちに崩壊すると断言されていますね。

世界的にITバブルが崩壊した2000年の後半以降、中国は世界中から金属・エネルギー資源を買いあさり始めた。リーマンショックが起きた直後の08年末からは、その傾向が加速した。たとえば、世界の銅消費に占める中国のシェアは約4割もある。鉄鉱石や石炭でも傾向は同じだ。中国一国の消費が世界の商品市況を支えているのだ。

しかし、これほど大量の金属・エネルギー資源を買いあさって、いったい何に使うのか。中国経済の特徴は、恐ろしく投資偏重になっていることだ。2ケタの経済成長を実現してきたというのに、個人消費にはあまり寄与しない。金属工業部門を中心とする国有企業に投資が傾斜配分されているのだ。

中国の鉄鋼生産高は、経済的に正当化しようのないほど過剰になっている。労働者や農民の生活水準をあまり向上させることなく、壮大な資源浪費と過剰生産、過剰投資によって、表面的に高い成長率を維持してきたのだ。それを担ってきたのが国有企業であり、そこで生み出された富の多くが一部エリートへの利権として配分されてきたから、外資系企業などに比べて、効率性が大きく劣るわけだ。

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