アベノミクスに騙されるな,デフレが日本救う 異色のエコノミスト・増田悦佐氏に聞く(上)
――増田さんは、インフレと円安誘導を目指すアベノミクスを一貫して批判し、円高とデフレこそ日本にとって望ましいと主張しています。
日本ではかれこれ17~18年もの間、デフレが続いている。だから日本はダメだ、一刻も早くデフレを克服しなければいけない、と主張する経済学者や知識人は多い。しかし、私は緩やかなデフレが続いている日本ほどいい国はないと思っている。デフレで名目賃金は下がっているが、(物価下落を考慮した)実質賃金はむしろ若干上がっている。
インフレの世の中というのは、おカネを借りられるような信用力の高い人が、おカネを借りれば借りるほどトクをする。インフレが続けば、借りたおカネの価値はそれだけ下がり、負担が小さくなっていくからだ。
デフレはその逆で、おカネを借りない方がいい。インフレのときは、自由におカネが借りられるのは政府や一流企業、金融機関のほか、個人でいえば一部の金持ちに限られ、多くの庶民は自由におカネを借りられるわけではない。つまり、インフレというのは、一部の人たちと多くの庶民とで優劣が分かれてしまう社会をもたらすのだ。
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