アベノミクスに騙されるな,デフレが日本救う

異色のエコノミスト・増田悦佐氏に聞く(上)

――自民党は国土強靱化計画で、財政支出や公共事業も拡大する方針を打ち出しています。この点についても、強く批判していますね。

公共事業を拡大すると、その恩恵を受けると見られている建設業や農業の労働生産性は下がってしまう。公共事業を増やして、非効率なことをやらせるからだ。非効率を生む最大の要因は、1966年に施行された「官公需法」の存在だ。この法律に基づき、国や地方自治体がモノを購入する際には、一定の比率以上を中小企業から購入しなければいけない。この比率は以前よりも上昇している。国や自治体は、まともな施工能力のないような中小企業に発注することもあり、当然、その中小企業は大手に丸投げして手数料だけ確保する。こうした積み重ねで非効率が生まれ、労働生産性は下がることになる。

もちろん、利用頻度が高く経年劣化したトンネルや橋のメンテナンスは重要だ。しかし、国土強靱化を口実にして、全国各地に50万人規模の都市を新たにつくるというのは、おかしな話だ。まっさらなところに新たな都市をつくるよりも、東京、大阪のような利便性の高い生活基盤をすでに備えた都市をもっと生かすべきだ。市場経済が機能してきた結果、仮に無駄な施設などをつくったとしても、結局は淘汰されて人が本当に必要とする施設が生き残ってきたのだ。それを活用すべきではないか。

アベノミクスに期待してだまされる、大企業や知識人

――アベノミクスへの期待感から昨年11月以降、約8割も上昇した日経平均株価は、5月22日に1万5627円(終値ベース)の年初来高値を付けてから調整局面に入りましたが、6月13日の1万2445円を底値にこのところ戻り歩調です。今後の株価をどのように予想しますか。

たぶん、年内に日経平均が5月22日の高値を更新するのは、無理だろう。アベノミクスに期待しているのは、外国人投資家だけだ。彼らが昨年11月以降、日本株の上昇を支えてきた。ただ、外国人は上がり始めてから日本株を買っているので、トータルで見れば昨今の調整で損をしているのではないか。

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