日本人はこの国の真の価値に気付いていない ニューヨークの漫画家が感じる日本の強み
――うまくいかないときにポジティブな自分になる技やコツはありますか?
私は小学生の時、1年間いじめられたのですけど、周囲にわかってもらえない時は、自分のことを肯定してくれる人を探すのが大事。結局、人は一人では無理だから、応援してくれるメンターや仲間を作って、「できるんだ、できるんだ」って背中を押してもらう。たとえ解決策が見つからなくても、一緒に考えてくれる人がいるっていうのが大事なのです。
今でもニューヨークにいると、自分自身がものすごくちっぽけに感じる時があります。結果を出せてないなって。でも、たまに友だちと会って語ると、ものすごく優秀そうな人でも私と同じような悩み抱えてたりして、落ち込んでるのは私一人じゃないんだなって思えたりします。そんな風に、自分の悩みを正直に言える相手を持っておくといいと思います。
昔ほど日本に近未来的なイメージはない
――ニューヨーク在住のミサコさんから見て、「クールジャパン」ってどう思いますか? そもそもニューヨークの人達は日本のこと、「クール」って思ってるんでしょうか?
昔の方がクールって思ってたんじゃないかな? 日本の電化製品とかとにかく進んでいたから。今はどっちかっていうと、ピースフルジャパンって感じかな。昔ほど、日本に近未来的なイメージを持っていないと思う。アニメや漫画はアメリカではクールという分類ではないな。そもそも人の評価は別々で、「日本=クール」って一つにイメージを決めちゃうことの方に疑問を感じるな。
日本の「おもてなし力」が日本で再認識されているみたいだけど、日本のおもてなしは、外国人によっては過剰な感じに思われることもあるかもね。欧米の外国人から見れば、サービスは必要なレベルだけみてくれれば大丈夫で、自分でやれる分は自分でやりたいと思っている人が多いんじゃないかな。もし、助けが必要ならこちらから聞くから。
――日本がもっとアピールした方がいいところはどんなところですか?
もっと日本の普通のところに、アメリカ人はすごいって思うよ。例えば、レストランのおしぼり。これ、すごくいい! カフェに行っても、パン屋に行っても、おしぼりやウェットティッシュみたいなのをくれるでしょう? パン屋はパン1つひとつをビニールに分けて入れてくれるし。こういう気配りがすごいって思うし、うれしいところ。あと、日本のお弁当箱もすごく人気。日本人が日常で使っているお弁当箱や、おかずの仕切りやピンとかプラスティックでできているお弁当グッズもかわいい。バンダナでお弁当を包むところもすてき。これをアメリカ人のティーンが見たらはまると思う。アメリカのお弁当はリンゴとパンをジップロックに入れるだけだから(笑)。
それから、座布団。畳の上に座布団で座ってみるのも日本らしい体験になるよ。サムライ体験も悪くないけど、日本に今、サムライがいるわけじゃないしね。あとは、透明のビニール傘。アメリカ人は少しの雨くらいなら傘はささないし、もし、あったとしても真っ黒な傘がほとんど。映画『ロスト・イン・トランスレーション』で知られるようになって。私もビニール傘持ってたら、「どこで買ったの?」って聞かれました。
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