日本人はこの国の真の価値に気付いていない ニューヨークの漫画家が感じる日本の強み

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――なるほど。ほかにもニューヨークと比べて、日本に戻ってくると違いを感じることはありますか?

お店のサービスに少し違和感がありますね。例えば、コーヒーショップに行ったときには、日本だとものすごく丁寧にオーダーを取ってくれたりしますよね。しかも、すごく笑顔で。同じブランドのショップなら、どのエリアのどのコーヒーショップに行っても、お店のサービスはほぼ一緒(笑)。お客が子どもだったとしても、丁寧に扱ってくれたりします。日本人にはそういうサービスが安心で心地いいのかもしれないのですが、私から見るとなんだか画一的でロボットっぽく見えるんですよ。

一見すると丁寧で優しい笑顔で良いサービスと言えるのですが、もうちょっとサービスする人やサービスする相手によって、パーソナリティを入れてもいいんじゃないかって感じるんです。どんなに優しい接客されたとしても、みんな一緒の態度では心にないことを言われているような気がしてしまって。日本企業は詳細なマニュアルや正確性の高いオペレーションに定評があるけど、基本的なルールの上に載せるサービスはもう少し多様性があってもいいような気がするな。そしたら、ほかの国にはまねできない、すばらしいサービスになると思います。

アメリカに溶け込むために自分を変えた

――「ニューヨークで活躍する日本人女性」に選出され、安倍首相夫妻の懇親会にも招かれたミサコ・ロックスさんですが、そもそも渡米のきっかけは何だったのでしょうか?

ミサコ・ロックス(Misako Rocks)/
ニューヨーク在住のコミック・アーティスト 兼 モチベーショナルスピーカー。日本とニューヨークでコミック、エッセイなど出版しながら、全米各地の小中学校やコロンビア大学、メトロポリタン美術館など で講演会、ワークショップを開催。2010年度 日経ウーマン ウーマンオブザイヤー キャリアクリエイト部門受賞。2013年9月 安倍総理夫妻NY懇談会:NYで活躍する日本人女性5人に選ばれた。著書に『理由とか目的とか何だっていいじゃん! チャレンジしなくちゃ後悔もできない! ニューヨーク流 自分を解き放つ生き方』『もうガイジンにしました。』ほか

子どもの頃に観た映画『バック・トゥーチャー』のマイケル・J・フォックスに一目ぼれしたのが、アメリカを好きになったきっかけ。私、中学時代は成績がすごく悪い方だったのだけど、アメリカ行くってことは決めていました。

それで、マイケルの映画の字幕を隠して、独学で英語を勉強しました。大学時代にはじめてアメリカに留学したのですが、留学先がミズーリ州のすごい田舎で(笑)。あこがれていたアメリカの生活っていう感じではなかったし、人種差別を受けたり、コミュニケーションがうまくいかなかったり、最初は理想と現実のギャップで心が折れそうになりましたね。どうもアメリカ人からみると、アジア人は表情の変化が少なくて何を考えているかわかりにくいようなのです。

それで私は日本人留学生とつるむのをやめ、ヘアカラーで髪を赤やピンクにして目立つようにしました。集団の中で埋もれそうになったときは、自分を目立たせることも大事。あと、自分の考えをしっかり持って意見を言えるアメリカ人に影響を受けて、私もアメリカ人に自分から質問したりして積極的に会話するようにするようにしました。そうするうちにアメリカ人の仲間がどんどん増え、アメリカをもっと大好きになりました。

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