余計!相手が疲れる「やりすぎ」気づかい 「おせっかい」に陥らないANA社員の秘密
「気づかいの心」から生じるものは「行動」だけではありません。あえて、「行動しない」ほうがいい場面もあります。
人は、「自分はこれをやった」ということを人に認識してもらいたい願望があるのでしょう。「策をこうじて行動に移した」ことについては、成功しても失敗しても「行動した結果だから」と評価を受けやすいものです。
その一方で「策をこうじて行動しないことにした」となると、「なぜ行動しなかったんだ」と批判されがちです。「行動しないほうがよい結果になると考えたから」という理由は、あまり評価されません。しかし、現実には自分がその場で「何も実行しない」のが最善策という場合もあるのです。
親切のつもりで毛布を畳んだら……
ANAのCAは、1日のうちに複数のフライトをする際、同じ飛行機のまま乗務することがあります。
その際、つぎの便の出発までの間、CAは地上の機内に残って食事をとります。その傍らで、つぎのフライトの準備のため、清掃担当スタッフや、搭載担当スタッフなどが飛行機に乗り込んできて、手早く準備を始めていきます。
食事を終えたCAもまた、つぎのフライトの準備を始めますが、機内では清掃担当者が清掃をし、ギャレーでは搭載担当者が飲み物などの搭載作業をしています。
そんな状況のなか、あるCAが気づかいの心から、清掃担当者のために毛布を畳んだとします。ところが、畳み方が間違っていたりすると、清掃担当者から「もう一度、畳みなおさないと。これじゃ二度手間だ」と思われてしまいます。よかれと思って実行したことが、裏目に出てしまう例です。