余計!相手が疲れる「やりすぎ」気づかい 「おせっかい」に陥らないANA社員の秘密

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不快を感じさせる要素が何もなければ、何も感じることがない。まずは、その状態を保つことを目指す。これが、ANAが考えるおもてなしの最低限の条件です。

「不快な思いを抱かせないこと」が、おもてなしをする上での最低条件であるとすれば、「快適さを提供すること」は、その先にある「おもてなし」の目標になります。

ANAにはパイロットたちが守るべき運航方針が書かれた「オペレーションズ・マニュアル」というマニュアルがあります。そこには、こう書かれています。

「機長と運航管理者は運航の安全を第一とし、最良の運航効率を上げ、かつ定時運航に努力するとともに、快適な飛行を行うことができるよう積極的な行動をとるものとする」

この運航方針のもと、安全性や定時性についていえば「どんなパイロットがフライトを担当しても、一定水準以上の結果が得られる」ことを目指すための具体的なマニュアルや指標が存在します。ベテランパイロットが操縦をしても、機長になりたてのパイロットが操縦しても、必要な水準以上の安全性や定時性が保たれることが目指され、その具体的な方法が書かれているのです。

しかし、「快適」は人により価値観が異なるもの。「こういう場面ではこのようにして快適さを提供すべき」と明文化するのは難しいのです。

「衣食住は問題ないか」を気づかいの基準とする

「具体的なマニュアルや指標はないが、『快適』を保つための基本的な考え方は存在する」と話すのは、勤続 21 年、ボーイング767の機長をしているパイロットの猿棒正芳です。

「機長昇格の訓練を受けるときに先輩パイロットから言われたのは、『衣食住のことは考えないといけない』ということでした」  

「衣食住」は仕事において、

・身だしなみ(清潔で健康な印象を与えているか)
・食事(お腹が空いていないか)
・環境(寒くないか、暑くないか)

と言い換えることもできます。

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