偏差値「10」の差を逆転する方法とは何か 「差がついてしまった」と諦めるのはまだ早い

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さて、本欄の主たるテーマは「マーケット」だ。マーケットにおける『逆転』の可能性として、現在、筆者が注目しているのは、ニューヨークダウ(現地1月12日終値1万9891ドル)と日経平均(1月12日終値1万9134円・共に端数切り捨て)の逆転があるかどうかだ。

現在、数百ポイントの差があってNYダウの方が高いのだが、今年の早い段階で日経平均がNYダウを追い越す可能性が相当に大きいのではないだろうか。

米国大統領選挙でトランプ氏が当選した後に急速に進んだドル高・円安によって、日本株が大いに持ち直したのは、読者もご存知の通りだ。もともと世界の景気が回復気味だったところに、トランプ新政権への期待が一気に高まった「トランプ・ラリー」であった。2016年度(2017年3月期)の企業業績は、一度円高に振れて、その後に円安に戻った当初下方修正気味だったが、ここに来て上方修正含みになっている。

また、日本の株価には「日銀砲」(ETF<上場投資信託>買い予定が年間6兆円)とも呼べる、いわば補助ロケットがついている。さすがに年間6兆円は大きい。しかも、日銀は、物価上昇率が2%をはっきり超えるまで金融緩和を続けるという「オーバーシュート型コミットメント」に踏み込んだので(金融緩和には賛成だが、ETF買いは筋が悪いと筆者は思う…)、日銀はETF買いのペースを落とすことが出来ないのではないか。

株価への直接介入は政策として筋ワルであり、政策の手段として適切だとは思わないのだが、やりはじめてしまった以上、日銀は簡単に手を引くわけには行かないのだろう。

「強気相場終了」の見極めは「米国株」で

トランプ氏の新政権は、現在、「親ビジネスの共和党政権」となりそうだと期待されており、市場もメディアも、トランプ氏の法人税減税やインフラ投資拡大などの意向をポジティブに解釈しようとしているように見える。この場合、米国の株価は上昇するだろうし、為替市場では米ドルが強含む。この強気のシナリオが実現する場合、米国株と共に日本株も株価が上昇する公算が大きい。

ただし、米国ではFRB(連邦準備理事会)が利上げの段階に入っており、ハト派とみられる理事も今年に3回の利上げがある可能性に言及するなど、金利上昇が株価の頭を押さえる段階が徐々に近づいている。一方、日本では、まだまだ金融緩和を縮小する段階ではない。そうした彼我の差を考慮すると、今年、NYダウを日経平均が「逆転!」する場面が訪れる可能性は小さくないのではないだろうか。

問題は、強気のシナリオが継続してともに上昇しながら抜くのか、トランプ相場に曲がり角が生じて、米国株が下落する中で抜くのかだ。後者の場合、「日銀砲」の下支えはあるとしても、円高・日本株安方向への圧力が掛かるだろう。当面が強弱何れのシナリオになるとしても、先行して「強気相場がいつ終わるのか」を決めるのは米国株ということになりそうだ。

「注目」が同時に「予想」につながるほど相場の世界は甘くないが、日頃以上に「米国の株価」に注目したい。

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