このコラムを担当しているメンバーの他のお二方(山崎元さん、吉崎達彦さん)がすでにトランプ次期米国大統領に関して書かれているので、私もぜひ書いておきたいと思います。
ここは「東洋経済オンライン」ですから、主に経済政策に焦点を合わせてみまたいとおもいますが、まずは一般論から。
トランプ次期大統領の経済政策は至極まっとう
とりあえず「メキシコ国境に壁を作る」、という話だけが独り歩きして何か飛んでもない無茶苦茶なことを言い出す奴だ、と思われている方も多いように見えますが、実はすでにアメリカ・メキシコの間にはいくつも壁が存在しています。
彼はそれを強化しようと言っているにすぎず、万里の長城のようなものを作ってしまうなら、それはある意味「無茶苦茶」でしょうが、そんなことまでは考えていないでしょう。その意味では至極まっとう、とまでも言えるかもしれません。元来、国と国の間には壁があるのが普通なのではないでしょうか。
そして今わかっている経済政策は極めてまっとうとでもいうべきで、「伝統的な共和党政策の二番煎じ」、に過ぎないとも言えます。富裕層に対する大幅な減税と財政投資の拡大(インフラストラクチャーの整備に5500万ドル)は、まさにレーガノミクスの再来とても言うべきもので、FRB(米連邦準備理事会)議長があの当時ポール・ボルカーで、すさまじい高金利政策が採用されていた当時と比べ、今のこんな情勢で「疑似レーガノミクス」を投入すればそれこそ大バブルになるんじゃないか、とさえ思います。
奇しくもトランプ当選のその時まさに東京市場がオープンしており、実は東京市場は大暴落したわけです。某経済新聞などはご丁寧に「トランプ大統領では先行きが不透明なので、リスクが取れない」と解説をしていました。
しかし、私はこんな政策を掲げた人が大統領になったわけですから「何言ってんだか……」と言っていましたが、案の定、当日のニューヨーク株式市場は一斉に大ブレーク。連日最高値を更新しているのはご存知の通りで、日本人の相場下手、というかそもそもリスクを取ることを恐れすぎるという悪い癖が出てしまったともいえます(本当にリスクが怖いなら株式投資などやらなければいいんです。すでにGPIF《年金積立金管理運用独立行政法人》で巨額のリスクを取ってしまっている訳ですから、今さらそんなことを言ってももう遅いですがね)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら