競馬評論家の井崎さんを真似て?大統領選の後講釈
アメリカ大統領選挙が終わり、まさかのトランプ大統領の誕生が決まった。「もしトラ」リスクが「まさトラ」になり、予想を外してしまった不肖かんべえに弁解の余地はない。この状況でふと思い出すのは、競馬評論家の井崎脩五郎さんのことである。
テレビを見ていると、井崎さんの予想はしょっちゅう外れるけれども、レース後のコメントが妙に深いことがある。「今日は輸送で馬体重が減っていたことが裏目に出ましたね」とか、「今日の中山は内側の芝が荒れているんですよ」などと、レースが終わると途端に冷静な分析が飛び出すのである。ときには「それを早く言ってくれよ!」と叫びたくなることもあるのだが、以下はそれに類する後講釈というやつである。
アメリカ大統領選挙というのは、全米で538人の選挙人(Electoral Vote)を取り合う形式で行われる。今回はそれがドナルド・トランプ氏290人、ヒラリー・クリントン氏232人という大差となった(ミシガン州の16人は未定)。ただし全米の一般投票数(Popular Vote)を比較すると、クリントン氏6082万票、トランプ氏6026万票となる。つまり民主党の方が若干多かったわけだが、選挙人の数と一般投票数が食い違うのはこれが歴史上4度目で、それほどめずらしいことではない。
それよりもお立合い。アメリカという国は人口が約3億2000万人もいるのに、大統領選挙に参加するのは毎回いいとこ1億2000万人から1億3000万人に過ぎない。今年もお互いに「6000万人ずつくらいだった」、という事実をまずは押さえておこう。
この数字を、次に4年前の2012年選挙と比較してみる。あのときはバラク・オバマ大統領が6591万票を獲得し、挑戦者のミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事の6093万票を大差で退けている。
不思議なことに、民主党の票がここから500万票も減っている。アメリカは毎年1%ずつ人口が増える国なので、本当はもっと票数が増えていてしかるべきなのである。おそらく今年は「史上最も汚い選挙」に嫌気がさして、投票率が低下したのであろう。それにしても、共和党の票数はあまり変わっていないのに、民主党の票が大きく減ったのはなぜなのか。その中にはリチャード・アーミテージさんのように、「俺は共和党員だが、今回はヒラリーさんに入れる」という人も含まれているはずなのに・・・。
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