ロシアによる米大統領選への干渉は、米国史上で前例のないものだった。 ロシアの介入がトランプ当選の助けになったかどうかは不明だが、トランプ勝利と、それに対するロシアの熱意は、第二次世界大戦後の時代が過ぎ去り、何百万人もの米国の有権者が、米国は世界的な統合から手を引くべきだと考えている証なのだ。
トランプとロシアのプーチン大統領は14日の電話会議で「建設的な協力関係」構築を目指すことで合意した。 トランプが1月の大統領就任前にプーチンに会う予定がないことは、ロシアによる政治的陰謀の後退を意味しない。 米民主党のシステムがハッキングされて機密情報を記した電子メールが流出した事件にロシアが関与していたことは、大統領選に影響した。
トランプとプーチンが組むのは自然
プーチンはシリアの反政府勢力に対する爆撃を通じて虐殺を行い、ウクライナ東部で殺傷行為の支援を続け、欧州全域の右翼団体に資金も提供している。これらはすべて、西側が直面する問題の解決を妨げるのが目的だ。
そして、トランプ当選は、プーチンがこうした一連の行為を世界全体に広げ、ロシアの偉大さを取り戻した者として同国での権威を強化することに寄与するだろう。
ロシア政府は、同国を孤立させて長期的な発展を妨げている行動が英雄的であるなどとする政治的宣伝を国内に振りまき、プーチン人気を高めている。これに対抗する最も確実な方法は、虚構を否定して、プーチンがロシアに破局をもたらす事実を暴露することだ。それには、プーチンとの対立を辞さなかった前国務長官のヒラリー・クリントンが最も適任だった。
トランプは逆に、KGB出身のプーチンを強力な指導者として賞賛し、その神話を補強した。普通の人々を犠牲にすることで個人的な力と豊かさを追求する両氏が手を組むのは、自然の成り行きではあった。