第二次大戦の終結以来の孤立だ。欧州と米国との関係に紆余曲折はあったが、危機の時は互いに頼ることかでき、基本的には互いに好意を抱いてきた。米大統領選でドナルド・トランプ氏が当選したことで、この関係は終わりを告げようとしている。少なくとも現在ではその恐れがある。
同氏は同盟国との連帯よりも壁や大洋に重きを置き、「米国やその国民をこれ以上、誤ったグローバリズムに屈服させはしない」と述べている。
欧州は世界観を変えねばならない
欧州はトランプ氏に慣れるだけでなく、世界を従来とは違った視点から眺めなければならない。
トランプ氏の米国が世界秩序にとって最大の不安定要因になる理由は、以下の4点だ。
第1に米国による保証はもはや信頼できない。トランプ氏は東欧の北大西洋条約機構(NATO)諸国が自前で防衛努力をしない限り、守る必要があるのか疑わしいとの認識を示した。そしてサウジアラビアは米国の庇護に対する代価を支払うべきだと主張。日本と韓国による核兵器の保有を手助けする姿勢を示した。欧州と中東、アジアについてトランプ氏は、米国が警察官の役割を果たす気はないと言明した。
第2に、世界的な国際機関が攻撃されるだろう。トランプ氏は、米国が第二次世界大戦後に創設して冷戦後に拡大させた自由貿易の世界秩序が、米国の価値観と利益を守る最も安価な方法であるとの見解を否定している。
2001年9月11日を経たジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)のように、トランプ氏は国際機関が米国の自由な行動を耐え難く制約しているとみなし、世界貿易機関(WTO)からNATO、国連に至るまで、そのあり方を見直すつもりのようだ。
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