木本:聞いているよという姿勢見せながら、でも次のことを考える。本当にドラムを叩いているみたいに。
三枝:それは重要な指摘です。ドラムはいちばん後ろでぜんたいのバランスを見ながらリズムをキープする大事な役目です。絶対前には出ないけれど、いないと困る。途中でリズムが変わってダメですし、決め事はちゃんと守る。あらゆる楽器の中で、方向性を決めて進めていくのに向いている楽器です。ドラマー的な脳みそを持つ人がMCとかプロデューサーには向いています。
木本:でも、メンバー紹介のときにいちばん拍手が少ないのがドラマーですが(笑)。
三枝:いちばんの裏方ですから。その意味では、楽器には性格が出ます。前に出たいけど神経質なギターとか。ベースは寡黙だけど意思が強いみたいな。
女子と絡んでイヤらしく見せないのは資質
木本:ボーカルは完全にフロントマンで大ボケですもんね。やっぱりMCはドラマー的ですね。話を聞きながらほかのことを考える、ほかのことを考えながら落としどころを考えるのは大変ですけれど。
ところで、いろんなMCがいた中で、中山秀征さんを「DAISUKI!」に抜擢された時の理由はなんでしょう。なぜヒデさんでいこうと。
三枝:あの当時、若手パネラーの代表格で、MCからいちばん遠くで立ち上がってはツッコミ入れたり、裏で回したりという役目をたくさんやっていたからですね。若手でお笑いをやっていたとはいえ、俳優もやっていたし、コンビの割にはアイドル的要素もあった。そんなギャップ力も魅力でした。もう1つ大事だったのは、女の子といてもいやらしく見えないこと。飯島直子さん、松本明子さんと絡んでもオスにならない。昔の深夜番組は下品にやってもよかったですし、そういう番組もたくさんありましたが、中山さんはそちらにいかない上品さがあった。
木本:大きなヒントを聞きました。女の子といていやらしさが出ない。それこそ普段どう生きているかが問われますね。ただ、素顔の秀さんのヤンチャぶりはけっこう聞いてます(笑)。
三枝:中山さんも先輩芸人にあこがれるタイプだったので、「たけしさんや石原裕次郎さんみたいな飲み方がしたいんだよ」なんて言ってましたが。どんな時、どこにいてもエッチな発言をしてもイヤらしくならない。タモリさんもさんまさんも、キワドイ話でもイヤらしく聞こえないですよね。
木本:それは確かにMCには大事な要素だと思います。
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