61. 御節料理では小エビを串で止めた鬼がら焼きをよく目にするが、エビも欠かせない正月食材である
62. エビは長いヒゲを生やし腰が曲がっていることから、長生きの象徴として御節料理や正月飾りに使用される
63. また細く長く地中にしっかり根を張る「ごぼう」も縁起のいい食材として好まれる
64. 「たたきごぼう」は柔らかく煮込んだごぼうを叩いて身を開くが、これは〈開運〉の縁起を担いだもの
65. 縁起ものといえば〈寿留女〉の字をあて、結納の品としても尊ばれる「するめ」も祝儀の膳には欠かせない
66. 年神様に供えた「餅」の御利益を頂戴するために作られた料理が「雑煮」である
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67. 本来は、元旦に初めて汲む「若水」を使って煮るのが習わしであった
68. 雑煮は地方によって異なるが、主に醤油やすまし汁仕立ての関東風と、白味噌仕立ての関西風に大別される
69. また餅の形も関東風は角餅やのし餅、関西風は丸餅と分かれ、丸餅は鏡餅をかたどっているともいわれる
一年の健康を願って
70. 「お屠蘇」は単なる日本酒ではなく、中国から伝わった漢方薬を酒に浸して作った薬酒の一種である
71. 〈屠蘇〉という字には「邪気を屠(ほふ)り、魂を蘇らせる」という意味があり、一年の健康を願って飲む
72. 本来、お屠蘇を飲む際には、若い人の生気を年長者に渡すという意味で年若い者から順に回し飲みしていく
73. 御節料理を戴く際には、〈厄を祓う〉といわれる柳でできた「祝箸」を使用する
74. 両方の先端が細くなっているのは、一方を年神様が、もう一方を人が使い、神様と食事を供にする意味がある
75. また祝箸は、中ほどが米俵のように太くなっていることから「はらみ箸」とも呼ばれ子孫繁栄をも表す
76. 祝箸を使ったあとは、自分自身で洗い清め、7日の松の内までは毎日同じ箸を使用するのが習わしである
77. 新年になって初めて神社や寺院をお参りすることを「初詣」といい、松の内にすませるのが一般的
78. 本来、初詣は自分が住む地域の氏神様、またはその年の氏神様がいる方向=恵方にあたる寺社を参詣する
79. 氏神様ではなく、日本人が各地の有名神社をお参りするようになったのは昭和も戦後になってからである
80. 「お年玉」は年神様に供えた餅を下ろし、子どもや目下の者に分け与えたのが起源とされる
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