京急の眠らない夜…元日・終夜運転の舞台裏 「中の人」が見た初詣輸送ドキュメント
大みそかの京急川崎駅。大師線ホームの端には、カメラの砲列ができている。ターゲットは、ラッピング電車でも臨時特急でもなく、通勤電車の1500形。ただし、正月に限っては注目車両になる。ヘッドマークが付くからだ。
多くの参詣客でにぎわう川崎大師・平間寺へのアクセスを担う京急大師線。毎年、この初詣での期間は、ヘッドマークを付けてお客様をおもてなしするのが慣例だ。
このヘッドマークのデザインは、お客様が参加することができる。毎年コンテストを開催しており、2015年は376作品もの応募があった。実際の電車に取り付けられるのは最優秀2作品。そして、その作品は大みそかの24時に発表される。
年明けまで秘密のヘッドマーク
●京急川崎駅 0:00
それまでは「内緒」のヘッドマーク。取り付けを行う運転主任は、2枚を抱き合わせにして隠しながらホームに登場する。折り返し0時4分発の小島新田行きが入線すると、いよいよ注目のヘッドマークが取り付けられ、シャッターを切る音がホームに響いた。
ある京急ファンに聞いた。「応募? いや私は撮るほう専門で。毎年来てますよ。恒例行事ですね」。京急ファンは、一介の広報マンより長く見続けてくれているのかもしれない。
大師線で新年のヘッドマークを取り付けるのは、記録によれば1979(昭和54)年からだという。同年は、「川崎-川崎大師-小島新田」と書かれた行き先表示の看板を付けて走っていた230形電車が前年に引退し、行き先表示幕のついた700形電車などに交代して初めての年だった。
この行き先表示幕は「川崎-小島新田」と書かれているため、ご参詣のお客様が多い期間、川崎大師方面の電車とわかりやすいように取り付けたのがヘッドマークのはじまりのようだ。干支を書いたのはご愛嬌か。同年から12年間、「干支シリーズ記念入場券」も発売している。
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