「中の人」が明かす鉄道フェスティバルの裏側 ファンを喜ばせる鉄道員の汗と涙の物語
2015年9月上旬のある日――。新宿の某ビル内の会議室に20人近いメンバーが集まっていた。その集団はそれぞれ違う名札を胸元に付け、ときに激しい意見の応酬も起こっていた。
参加しているメンバーの社章は鉄道ファンが見れば、どこの鉄道会社の社章かがすぐわかるに違いない。社章の種類は9つ、と説明すればピンと来る方も多いだろう。メンバーは関東の私鉄と地下鉄の社員たちだ。
メンバーたちはイベント企画などについて定期的に話し合う連絡会を実施している。その思いは1つ。「他社の鉄道であっても、鉄道に乗るということは、結果として交流人口が増えることになる」という理念である。
この会合に各社が馳せ参じるのには、もう一つ理由がある。それは、会議とは別に交わされる各社の「最新情報」だ。「最近の沿線の子どもたちのトレンドは?」「ウォークラリーで求められるポイントは?」など、過去のイベントでの成功や失敗を聞き出していく。鉄道会社ならではの悩みや苦労も分かち合いながら、貴重な情報共有が行われるターミナルなのだ。
人気ナンバーワンは「カレンダー」
この日は、鉄道会社の営業担当にとってビッグイベントとなる「鉄道の日(10月14日)」の取り組みも話題に上った。そして、各社が集う10月10~11日の日比谷公園「鉄道フェスティバル」で、再会を約束した。
毎年、日比谷公園で行われる鉄道フェスティバルは、2015年で22回目を数える。鉄道が国民に広く愛され、その役割についての理解と関心がより深まることを願い、「鉄道の日」実行委員会が主催するもので、昨年は2日間開催して約14万人が参加した、国内最大級の鉄道イベントだ。JRグループ全社をはじめ、私鉄や公営、第3セクターや、関係企業・団体など計約70社が日比谷公園に結集する。
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