「中の人」が明かす鉄道フェスティバルの裏側 ファンを喜ばせる鉄道員の汗と涙の物語
京急電鉄で鉄道営業の仕事に携わっていた筆者も長らくこのイベントに参加してきたが、全国から鉄道ファンが日比谷公園に集う姿は17年前から変わらない。10時のスタート前に行列ができるのも同じだ。
鉄道会社も、この日に向けてニューアイテムを発売するところが多く、「会場先行発売」というグッズも見受けられる。アイテムの中で最も多いのは、10月という時節柄、カレンダーの発売だ。自分の部屋を1年間、鉄道で飾るにはもってこいのアイテムだが、制作する側にとっては、四季折々の写真も取りそろえるための苦労も多い。
ここまで各社のカレンダー発売がそろうと、ファンはどう選ぶのか。
千葉県から来たあるファンは、「地元の京成カレンダーは毎年使わせて頂いているけど、他の会社でも『珍しい電車同士の偶然の並び』の写真があると、欲しくなりますね。むしろカレンダーを掛ける壁が足りないかも」と笑う。
もう一つ、長蛇の列をつくる人気商品は「鉄道コレクション」。Nゲージサイズなので少し手を入れれば、走らせることも可能。また、注目は関西私鉄による一斉販売ブースの存在だ。そもそも、関東ではなかなか手に入らない関西私鉄のグッズであるうえに、関西と同時発売も魅力。今年は阪急電鉄・阪神電気鉄道・能勢電鉄・北大阪急行電鉄の4社が一つの特設ブースに集い共同販売した。
「感涙もの」のオークション
このブースはサービス精神にあふれている。鉄道コレクションは、2両組の商品が多いため、長い編成にしたいファンは複数個を購入されるケースが多い。大切に持ち帰れるように紙袋に入れるのだが、よく見ると、袋に発売商品のイラストが入っていたりする「こだわり」も感じられる。
販売が一段落すれば、午後はオークション大会だ。豊富な知識と会場の雰囲気に合わせた司会進行は、まさにショーを見る雰囲気だ。
登壇者が懐かしの阪急ブレーブスのユニフォームを着て颯爽と現れるサービス精神には、往年のファンも感涙ものだ。筆者はその姿を感心しながら遠巻きにして見ていたのだが、目ざとく見つけられ呼び出された。
「はい、京急さん来ました、ジャンケンどうぞ!」。
突然の闖入者に、関西ファンも戸惑うだろうと思ったが、「いいんです、阪急と京急は線路の幅が同じだから。チーム1435ですよ」と紹介され、そのまま段ボールのステージに上がった。イベントの相互直通運転には折り返す理由などない。
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