「中の人」が明かす鉄道フェスティバルの裏側

ファンを喜ばせる鉄道員の汗と涙の物語

就活生もいた。熱烈な鉄道ファンで、コスプレもこなす広いジャンルを持つ彼は、今年4月に千葉県・幕張メッセで開催された「ニコニコ超会議2015」の京急ステージショーにも参加いただいた。いま就職活動中ということで、息抜きで顔を出したという。

「こういった鉄道イベントに参加すると、各企業の雰囲気がよく分かります。技術系を目指していますが、午前中は鉄道総研の一般開放に参加して研究発表を見てきました」

「鉄道の日」を迎えるこの時期は各地でイベントが開催されるが、東京都・国立市にある鉄道総合技術研究所では毎年、「平兵衛祭り」という、施設の一般開放イベントが開催される。普段は見られない研究施設が見られるほか、日頃の研究成果の紹介も行われている。理解を深めるという「鉄道の日」の目的は、こうした未来の鉄道マンの醸成にも役立っているはずだ。

ファンの「心の相互直通」が進む

「これ、どうです? 京急さん見てください」。
鉄道ファン同士がワイワイと話している輪に飛び込むと、抱えていた写真アルバムを広げて見せてくれた。京急の赤い電車がいっぱい並んでいる。すでに引退した懐かしい車両もあって、一目でファン歴の長さを感じるものだ。

手書きのイラストを見せて鉄道ファンの想像の和が拡がる

会場で男性ファンの一人が手書きのイラストを見せてくれた。そこには鉄道ファンの楽しみ方の一つが表れていた。「山手線のあの新型、何線に入れたい?」と題されたスケッチには、さまざまな私鉄・地下鉄で活躍する「想像の鉄道」が書き込まれている。どの会社という限定はされない、自由な発想がそこにはあった。

鉄道会社が自社の鉄道をPRするのは当然ではあるが、ファンは垣根を越えてどんな鉄道も興味がある人が多いということかもしれない。「東急5000系のTシャツを着たチビッ子が、肩から東武10000系のバッグをかけ、西武のブースに並ぶ」という姿も目の当たりにした。ファンや子どもの心の中では全国の鉄道による相互直通が行われているのだ。

実際の鉄道でも、相互直通運転が広がる昨今だが、鉄道イベントやPRの部分でも鉄道各社のつながりは今後ますます強くなっていくべきなのかもしれない。全国の私鉄・地下鉄のメンバーはこのイベントで一堂に会し、相互連携の必要性を確認したに違いない。

交通ネットワークも鉄道イベントも、「心の相互直通」を再認識した日比谷公園の鉄道フェスティバルは、大きな成果を残して名残惜しくも終了した。さあ、来年はどんなイベントが繰り広げられるのか――。鉄道各社の担当者は、次なる直通運転の計画に向けて早くも走り出した。
 

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