京急の眠らない夜…元日・終夜運転の舞台裏 「中の人」が見た初詣輸送ドキュメント
●品川駅3番線 4:15
新年の幕開けはハッピーに。京急からの最初のお年玉は「初日(はつひ)1号」として運転する“幸せの黄色い電車”京急イエローハッピートレインだ。
「初日号」は、三浦半島で初日の出を見るお客様のアクセスとして、毎年運転している臨時の特急電車だ。せっかくのおめでたい列車だから、京急線に1編成しかなく「見ると幸せになる」とも言われる珍しい電車を充当しようということになった。
京急ファンへの「ご祝儀」も
ホームに入ってきた「初日1号」には、ここでもやはり、夜通し追い続けてくれた京急ファンのカメラの砲列が向けられた。そのファンには、もう一つご祝儀?を用意していた。ヘッドマークだ。
ときは2015年11月。本社の運転部門では、終夜運転の計画が進められていた。前年の混雑の状況、沿線の催し物の予定、他社の計画などを加味しながら、終夜運転ダイヤが練られていく。そのなかで、初日号に京急イエローハッピートレインを充当するとともに、ヘッドマークをつけよう、ということになったのだ。
このヘッドマーク、担当者はデザインを何案も作って検討した。最終的には海から太陽が上がる燦々と輝くようなデザインに決定されたが、実は、遠い昔に走った三崎口行の臨時電車のヘッドマークを模しており、京急ファンならニヤリとしていただけるような仕掛けだ。
ところで、今年の初日号は昨年より1本多く運転された。この増発された初日1号は、三浦半島へ元日にお出かけするお客様が、少しでも便利にご利用いただけるように設定したもので、その他にも横浜駅から先行する普通列車の混雑分散対策としての役割もあった。終夜運転ダイヤは、たった一日であったとしても、決して手を抜くことはできない。
●三浦海岸 6:50
6時14分、三浦海岸駅に初日2 号が到着し、初日の出を見るお客様が早足で海岸線を目指す。浜辺では、海防陣屋太鼓や温かい陣屋汁が振る舞われる。やがて、房総半島の上に黄色く輝く太陽が上がった。
すっかり日が上がった三浦海岸の改札口で、お客様の声が耳に入った。
「そういえば、朝の電車は黄色い電車だったね。あれって見ると幸せになるらしいよ」
京急の眠らない夜は終わり、そしていつもどおりの朝がやってきた。
変わらない一日、事故なく走り続けることを胸のうちに祈願しながら、京急は今年も幸せを乗せて走り続ける。
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