生命保険を契約する際に押さえるべき3要点 商品やサービスを作るのは消費者だ

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自力で説明できる保険は、たとえば、60歳までに死亡したら2000万円が遺族に支払われる、といったシンプルなものだと思います。そんな単純明快な保険を好む人が増えると、「わかりにくい保険」は市場から淘汰されるでしょう。

実際、消費者の関心が低い保険が市場から消えていった例もあります。2010年ごろ、ある保険会社に、1日以上の入院に対し、一時金として入院給付日額の5倍を支払い、61日目以降120日目までの入院に対して「長期入院給付金」を支払う医療保険がありました。

入院6日目から60日までは保障しないで、61日目から120日目までの保障に絞ることで保険料を安くしていたわけです。120日目までの保障というのが中途半端な気がするものの、60日までの入院より61日目以降の入院が家計に与える影響は大きいだろうと想像すると、商品設計の方向性は悪くないと思います。

ところが、この商品は約2年で販売されなくなりました。保険会社に理由を問い合わせしたところ「ファイナンシャルプランナーなどにはそれなりに評価してもらえたが、売れなかった」とのことでした。

消費者は、1日以上の入院で60日の保障があるような医療保険を好んだのです。是非はともかく、消費者には、保険会社の商品ラインアップを変える力があることがわかる例でしょう。

保険をよく知る保険会社の人たちが愛用している保険は、消費者にも説明可能だと思える、シンプルな「団体保険」です。消費者が真似をしない手はないのです。

2「保険料の還元率」にこだわる

次に意識してほしいのが、保険料から、死亡保険金や入院給付金などとして加入者に還元されるおカネの割合です。

本連載でたびたび書いているように「保険専用ATM」をイメージすると良いでしょう。たとえば、保険数理の専門家によると、売れ筋の「医療保険」の場合、保険料の約30%が保険会社の運営費に回るそうです。

つまり、医療保険専用ATMに1万円入金すると3000円の手数料がかかるような仕組みなのです。投資信託では、0.3%未満の費用で済む商品もあることを思うと、もう少し何とかならないのかと感じます。

昨年は、銀行の窓口で販売されている一部の保険商品について、手数料が開示されるという喜ばしい動きもありましたが、本来、すべての商品で実施されてしかるべきことだと思います。

そもそも、代理店などに支払われる手数料は契約に要するコストの一部です。広告宣伝費等、その他の諸経費も引かれた後、加入者に還元されるおカネの割合はどれくらいになるのか、消費者が営業担当者や代理店に確認することが大切です。

具体的な見込みの数字は、保険会社に勤務している一部の人くらいしか知らないことだと思います。それでも尋ねるのです。

たとえば、一生涯の保障がある保険で「保険料はずっと変わりません」という案内がなされるのは、契約更新時に保険料が上がることを気にする消費者が多いからでしょう。

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