「愛するがゆえ」に子どもを苦しめる親の特徴 それは成長できない親の悪あがきにすぎない

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「そんなことを言って、大事なわが子に何かあったらどう責任を取ってくれるんだ!?」と反論する親御さんもいらっしゃるでしょう。しかし、残酷かも知れませんが、子どもは社会に出たら、自分の力で自分の人生を切り開いていくしかないのです。そのためには、自己判断能力を育てることが必要です。

ここで親が「あなた1人で出来るはずがない」「まだまだ親のサポートが必要だ」と子どもを保護してしまうと、自己判断能力が育つのを阻害します。子どもを信頼するためには、より深い愛情と忍耐が必要で、親としての成熟と覚悟が必要なのです。

なんだかんだと親のせいにして、実は子どもの依存心が大きく、自身が自立できないだけなのでは……というご意見もあるとは思います。しかし、親と子との上下関係は生物学的観点から見ても絶対なのです。ですから、親から改善する必要があります。子どもからは、なるべく我慢する、出来るだけ接触を断つ、反抗する、くらいしか術がないのですから。

親も子とともに成長していかなくてはならない

そして何より、親が子どもを思うように、子どもにも親への愛情があります。大切に育ててもらったという思いがあるからこそ、自分の気持ちと親の意向のはざまで葛藤するのです。それを、是非理解していただきたいものです。

「子育ては、自分育て」というように、親も子どもとともに成長します。親の過剰な心配は、成長しきれていない親の悪あがきのようにも映ります。子どもの成長に追い抜かれないよう、親自身も自分を大切に育んでいって欲しいと願います。 お互いが信頼で結びつくことができれば、きっと素晴らしい親子関係を築くことができると信じています。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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