キャリーバッグ事故に注意、高額賠償の例も 転倒事故や足の甲を轢くトラブルが発生

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キャリーバッグ事故で賠償を命じたケースもある(写真:つむぎ / PIXTA)

重い荷物も楽に運べ、旅行や出張に便利なキャリーバッグ。しかし、近くを歩いている人の足の甲を車輪でひくなどのトラブルも発生しているようだ。

ツイッターには「後ろの人のキャリーバッグに足轢かれてガッ!てなって転びそうになった」「エスカレーターの一番上からキャリーバッグが滑走して逝った」などのツイートが見られた。

裁判にまで発展し、キャリーバッグを曳いていた人に賠償を命じる判決も出ているという。思わぬトラブルを防ぐために、キャリーバッグを使う人は、どのような点に注意すればいいのか。伊澤大輔弁護士に聞いた。

つまづいて骨折、「100万円強」の賠償命じたケースも

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

キャリーバッグを曳いていた人に賠償を命じた判決とは、どのような内容なのか。

「これは、駅構内において、被告の曳いていたキャリーバッグが、対面からすれ違った原告の足に当たって、原告がつまずき、骨折などの傷害を負ったという事案について、100万円強の損害賠償責任を認めたという判決です(東京地裁平成27年4月24日判決)。

この判決は、一般論として、『歩行者が、駅構内のような人通りの多い場所でキャリーバッグを使用する場合には、曳いているキャリーバッグが他の歩行者の歩行を妨げたり、それに躓いて転倒させることがないよう注意すべき義務を負う』と判示しています」

人通りが多い場所での歩行者同士のトラブルに関する裁判例は、これだけではないという。

「キャリーバッグの事故ではありませんが、駅改札口付近で歩行者同士がぶつかり、転倒負傷した事案について、同様の注意義務を認めた裁判例があります(東京地裁平成17年4月25日判決)。

この判決では、事故当時の駅のコンコースのように、様々な人の流れがあり、歩く人で相当混雑しているような状況においては、『被告において、人の流れに沿って歩いていたとしても、前方を相当程度の注意をもって注視し、他に歩く人との無用の接触を避けるべき注意義務がある』と判示しています」

次ページただ歩く時よりも、いっそう周りに注意する「義務」がある
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