2017年も1000億円規模の海外買収が続々? 2016年はソフトバンクが圧倒的存在感

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まずは、国内の業界再編をめぐる動き。野村証券の角田慎介経営役は「国内人口が増えない中、今後も国内の再編は増えていく」と見る。2016年の取引金額上位10案件には前出のキヤノンのほかに、JXホールディングスと東燃ゼネラル石油との経営統合(約6400億円)、トヨタ自動車によるダイハツ工業の完全子会社化(約3700億円)といった国内再編案件が入った。こうした傾向は2017年も続きそうだ。

再編という意味では、グローバル企業同士の統合の動きが日本企業にも影響を与える。「欧米企業のM&Aの条件として、独禁当局から一部事業の売却が求められ、それを日本企業が買いに回るケースが増えてきた。2017年もこの流れが続きそうだ」(M&A仲介会社・GCAの大田浩昭取締役)。前出のアサヒHDによる東欧ビール会社の買収も、元をたどればベルギーのビール大手・ABインベブが英同業のSABミラーを買収した際に一部事業の売却を求められたことがきっかけだった。

カネ余りでファンドの仕込みも活発

ファンドの動きも見逃せない。2016年に特に目立ったのが、米系投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)だ。11月に自動車部品大手のカルソニックカンセイを日産自動車から約4700億円で買収したのに続き、12月には日立製作所から日立工機を買収すると報じられた。「リーマンショック前に購入した株式がエグジット(売却)の時期を迎えたことや、世界的なカネ余りに伴って資金が流入したことによって、ファンドの買収意欲が高まっている」(業界関係者)。こうしたファンドの再仕込み案件は2017年も増えていきそうだ。

グローバル企業の「日本パッシング」的なM&Aが増えるとの見方もある。2016年には、ブラジルの国営石油会社・ペトロブラスが沖縄の南西石油を太陽石油に売却。米保険大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)も富士生命保険を香港のパシフィック・センチュリー・グループへ売却した。日本の人口動態に鑑みれば、縮小する市場に見切りをつけて、海外企業が日本事業を売却する事案は今後も相当数が見込まれそうだ。

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