では学生にとっての「経験」とはどのようなことが考えられるでしょうか。現実的には、①大学での学びを通じた疑似的な経験、②アルバイトやインターンシップといった仕事との初期的接触、③専門学校やセミナーなどにおける職業的スキルの取得を通じた疑似的な経験――などでしょう。そしてこれらすべては高校生よりも大学生により機会が提供されるものでもあります。
つまり、現時点でやりたいことが明確でなくとも、幅広い分野を学ぶことができる大学に進学することで、自分自身にとっての選択肢を列挙するスタート地点に立てる可能性が高まる、ということです。
以前の本コラムでも、高校生の時点でやりたいことが明確でない場合は、とりあえず大学に行くのもアリ、そしてその場合は最初から過度に選択肢を絞ってしまうような専門性の高い学部よりも、幅広い選択ができる学部を選び、大学を進路探しの場所として活用すべし、ということを申し上げましたが、まさにそういった理由からです。
理想は将来やりたいことが明確→それによって進むべき大学を選ぶ、という流れなのでしょう。親や先生もそのように言うことが多いと思います。
しかし私は現実的に、実社会(職業)と学業の断絶が非常に強い日本の教育システムの中では、高校生のうちから将来なりたい職業を選べるとは思えません。
したがって、やりたいことを見つけるために大学に行き、上記3つの手法をフルに駆使して、つまり大学生としてのステータスをフルに享受して、徐々に自分にとっての職業上の選択肢を見つける、という程度のスタンスで十分です。
学生時代は大いに悩むべき
大学の授業で幅広い範囲に触れ、自分にとってしっくりくるかの初期的な感触をつかむことも可能でしょう。しっくりきた分野があれば、その先はどんどん自分で専門学校に通ったり、セミナーに行ったりして深堀りをすれば、より理解が高まります。
気になる会社や職業があればアルバイトとして入り、実際の業務の一端やそこで働く人たちに触れてみることを通じて、複数の選択肢の中から絞り込むきっかけとすることも可能でしょう。それらの経験により、自分にとっての現実的な選択肢をどんどん増やしていき、より深堀りすることで選択肢を狭めていけばよいのです。
私自身も上記3つの方法を駆使して、「仕事という漠然とした対象」から、自分にとっての「現実的な選択肢」に絞り込んでいきました。おそらく誰もが多少の違いはあれども、同じようなことを通じて職業や将来の進路を選んできたはずです。
逆に言うと、そういった「経験」をせずに就職活動に突入してしまうと、企業の発信するうわべの情報の波に埋もれてしまい、いつまで経っても漠然とした対象のままで、最後は何となく選択をしてしまう、ということになりかねません。そうならないためにも、悩む権利のある学生時代に大いに経験をして、大いに悩み抜くべきなのです。
亮太さんは現時点においても、「将来が見えないことに対する健全な危機意識」を持っていますから、悩みの第1歩はすでに踏み出した状態です。あとは上記3つの手法を通じて、悩みの「その先」に向かって1歩を踏み出すことをしてみましょう。
その先には必ず、亮太さんにとってのベストの姿が見えてくるはずです。
亮太さんが現在の悩みを通じて、将来、大きく成長されることを応援しております。
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