低価格国産ダウン「ナンガ」が売れまくる理由 3分の1の価格で「水沢ダウン」と真っ向勝負

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ナンガのダウンの強みは何と言っても羽毛の品質だ。三重県の羽毛素材メーカー「河田フェザー」から直接羽毛を仕入れている。河田フェザーは国内屈指のメーカーで、高度な羽毛洗浄技術を有する。羽毛のホコリ・汚れ・アカを極限まで落とすため、ふわっとした、保温性の高い羽毛に仕上がるのだ。

横田社長はミシンがけ以外は「何でもできる」という。商品の企画、商談も自ら行っている(記者撮影)

上質の羽毛にこだわるのは、ナンガが寝袋メーカーでもあるからだ。ナンガの前身は横田智之・現社長の祖父が1941年に立ち上げた「横田縫製」。もともとは布団や寝袋の縫製を請け負う会社だったが、取引していたメーカーの生産が海外にシフトしたため、寝袋メーカーに転身した。

ただ、後発だったため、受注はオンシーズン(11月以降)になってからオーダーがもらえるという状況だった。そこで、「ダウンを作ってみるのはどうか、ということになった」(横田社長)。

期せずしてアパレルメーカーからOEM(相手先ブランドによる生産)の依頼があり、応じたのは2005年のことだった。6~8月にかけて生産し、9月に納品するというサイクルは、寝袋の売上げが立たない時期の補完にもなった。ダウン生産を手掛けたのは横田社長(当時は社員)。ノウハウは皆無だったが「先代の父とは違うことをやり、自分としての売り上げを作っていくことが必要という思いが強かった」と当時を振り返る。

現在は年間5万着を生産

初年度はわずか600枚のオーダーだったが、納期に遅れ、採算も赤字になるなど散々な状況だった。当時社長だった父親には怒られたが、横田社長は「もう1回やらせてくれ」と頼み込んだという。次の年、メーカーからの発注はなかった。それでも横田社長はあきらめなかった。「わからなかったことは、人を訪ねて色々と聞いて回った。自分なりに勉強を重ねた」(横田社長)。

再び依頼が舞い込んだのは2年後、2007年のことだ。1年間の研究の成果を生かし、今度はゴムやマジックテープのカットを事前に仕込むなど、納期に間に合わせるために多くの工夫を凝らした。この年、初めてしっかりと受注に応えることができたのだ。

それ以降は、メーカーとのOEMを通して加工技術を磨き、「ナンガ」のブランドを認知してもらうことに注力。セレクトショップとのコラボ商品も数多く手掛けてきた。昨年にはデザイナーも迎え入れ、自社ブランドの本格販売を始めた。東京都目黒区に直営店を初めて出店したのも昨年だ。600枚からスタートした生産量は右肩上がりで、現在は年間5万着を生産するまでに成長した。

今年は韓国での展開も始めた。「より多くの人に着てもらえるようにアジア諸国と米国をターゲットに攻めていきたい」と横田社長は意気込む。

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