「メールで相手を怒らせる人」に欠けた視点 メールのやりとりは何故「泥沼化」するのか

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ただ、明確な文言と状況説明やすり合わせの申し出をきちんと書いていても、メールで感情的に怒りを露わにした返信が来る場合もあります。その場合の対処法としては、内容に応えないことが基本です。

メールでやけに「高飛車」になる人もいる

文字だけでは、やはり意図が正確には読み取れず、応酬してしまうとお互いの溝は深まるばかりです。怒っている相手と直接コンタクトを取るのは精神的な負担が大きいと思いますが、「直接お話させていただきたい」と、電話または対面することを促す文章で返信するのが、問題を大きくしないための近道です。

「ネット人格」という俗語があるように、文字だけだとやけに高飛車な態度を取る人もいます。実際に電話してみたら、案外相手は控え目な態度で、すんなり問題が終息した、ということも十分ありえます。

それでも、相手の電話番号がわからないなど、何かしらの事情で、直接電話や面会できないときはどうすればよいでしょうか。そのときは、まず相手のメールの意図を一度自分で文章でまとめなおし、それに答えるようにすることが大切です。面倒でしょうが、できるだけ端折らずに、相手の論点を整理するのです。

謝罪する場合、単に「申し訳ございません」だけでは、相手に「取りあえず謝ればいいと思っている」と受け止められかねないため、何に対しての謝罪なのかを明確にする必要があります。そして、必要以上に謝らないことも大切です。「非を認めた」と相手に付けこまれる可能性があるからです。

マイナス要因の内容を含む、心理的な軋轢が生まれるであろう連絡は、とっさに「メールで済ませたい」と思ったとしても、その後費やすかもしれない労力を考えると、直接コミュニケーションを取った方がはるかに効率的です。特に、「認識の修正」「歩み寄りや落としどころの模索」など、細かなやり取りの繰り返しが必要な場合は、勇気を持って電話や対面でのやりとりを選択できるようにしたいですね。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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