――31歳のときに最初のご結婚をされたそうですね。どんな結婚だったのかを教えていただけますか。
元夫は1才年上の起業家仲間です。私と彼が中心となって、誕生会やゴルフなどを企画していました。友だちとしては仲が良かったけれど、お互いに結婚相手としては適していなかったのだと思います。
男性のベンチャー社長はすごくモテます。おカネで寄ってくる女性もいますからね。でも、彼は仕事をちゃんと理解してくれて、束縛しないような女性を求めていました。一方の私は「社長」という肩書だけでまったくモテません。当時は女性のベンチャー社長が珍しかったのです。名刺を交換すると、たいていのサラリーマンは怖がって逃げてしまいました。外資系金融のディーラーと合コンしたときは、「へえ。いくら稼いでるの? 上場すんの?」なんていきなり聞かれたこともあります。
週に2、3回も会って、恋愛に関する愚痴を彼と言い合っているうちに、「仲のいい私たちがカップルになるのがベストマッチなのではないか」と思い始めました。彼も経営者なので私を怖がることはないし、私は彼の仕事を理解できます。長女を妊娠してから入籍しました。
結婚した途端、自分たちの親をモデルにしてしまった
しかし、ベンチャー社長には父親も同じく経営者だという人が多いのですが、私たちの父親は普通の会社員。母親は専業主婦です。私も彼もそれぞれの母親と父親の生き方を否定するかのように経営者として働いて来ました。それなのに、結婚した途端に親たちをモデルケースにしてしまったのです。彼は私に「専業主婦のお母さん」を求め、私は彼と「会社員のお父さん」を比べました。
――両親は最も身近な「結婚のモデルケース」ですからね。良くも悪くも強い影響を受けます。
でも、私はサラリーマンの父すら否定して経営者になっています。元夫が内心理想とする専業主婦のようにできるはずがありません。
娘が生まれてから、彼は「もっと稼がなくちゃ」と思ったのかもしれません。仕事も接待も加速しました。毎晩が外食で、朝まで帰ってこない。私の父親は毎日自宅で夜ご飯を食べていたのと比べると、元夫とは圧倒的なすれ違い生活でした。私はゼロ歳児を育てながら自分の会社も経営することに必死で、彼との話し合いにエネルギーを使えなかった。とにかく眠りたかったのです。
経営者同士として「感情的になったらダメだ」「一度爆発したら止まらなくなる」と牽制し合っていた側面もあります。「どうせ言ってもわからないよね」と、話し合いを避けていていました。そうして知らぬ間に違う方向に進んでしまったのだと思います。結婚生活は1年半ぐらいで終わりました。
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