それにしても、単年度の数字をもとに「保険が役に立つ確率」を考えるのは、もどかしいものです。保険加入を検討する個人にとっては、契約期間中に保険金を受けとる確率は単年度の水準にとどまらず、加齢とともに上昇するはずだからです。
そこで筆者が参考にしているのが、死亡保険金の支払い実績です。単年度の数字を比べることで、おおまかな見当がつけられないだろうかと考えているのです。
個人保険の契約件数が多い大手生保などのディスクロージャー誌を見ると、死亡保険金支払いの発生率は例年0.4~0.6%程度です。なかには、一生涯の死亡保障がある終身保険からの支払いも含まれているはずです。
一方、長期の就業不能状態に備える保険は、55歳や70歳までといった期間限定です。先に触れたライフネット生命の支払い実績にしても、この先倍増しても0.2%未満、3倍になっても0.3%に届きません。こうしたことをあわせて考えると、加入者が給付金を受け取る確率は、契約期間中に死亡する確率より低く見ておいていいのではないでしょうか。
まれにしか起きない事態だからこそ
繰り返しになりますが、それは悪いことではありません。まれにしか起きない事態だからこそ、手ごろな保険料で備えやすくなるはずだからです。
では、保険料は納得がいくものになっているのかというと、残念ながら疑問があります。やはりライフネット生命が公表しているデータが根拠です。同社は商品の保険料に見込みで含まれる保険会社の運営費部分の割合(付加保険料率といいます)を開示しています。
年齢・性別・給付額の設定により異なりますが、ニュースリリースにある保険料例から算出すると、26%~36%といったところです。「専用ATM機に1万円入金すると3000円前後の手数料が引かれる」イメージです。
この夏リニューアルされる前の旧商品発売当時のニュースリリースでは20~31%の間に収まっていますから、新商品では契約に要するコストが上昇している、と見ることができそうです。同社が代理店展開を進めていることが関係しているのかもしれません。
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