「就業不能保険」とは、どのような保険なのか 長期の休業リスクに備えて検討の余地あり

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筆者は、傷病手当金がない国民健康保険に加入している自営業者なので、今回取り上げた保険には、できることなら加入しておきたいと思います。

しかし、自分が窮地に陥るストーリーから離れ、虚心にATM機のことを想像すると腑に落ちないところもあります。同時に、ライフネット生命以外の会社が付加保険料率を開示していないのは、こうした見方をされると困るからではないか、と疑いもします。

長期療養が必要になる例などを示されるだけで、保険が役に立つ確率や、契約に要するコストに関する情報が提示されないのはいかがなものか、と感じるのです。

そんなわけで、筆者は、就業不能状態に備える保険の存在意義は認めながらも加入には至っていません。読者の皆さまにも、何度でもATM機のことを想像してほしいと思います。

そのうえで「保険の世話になる確率が1%未満でも看過できるリスクではない。コストを云々する問題でもない、保険に入ることで得られる安心感は代えがたい」などと納得できる方は、各社の商品を比較なさるといいと思います。

健康保険組合の保障についても確認を

なお、会社員の方の場合、健康保険組合によっては「傷病手当金」の増額や給付期間の延長が実施されているところもあります。また企業や業界団体の規模によっては、勤務先で案内される「団体保険」の「長期所得補償保険」に、格安の保険料で加入できることもあります。

就業不能状態に備える保険に限ったことではありませんが、民間の保険商品への加入を検討する前に、健康保険の保障内容や勤務先で利用できる制度について、確認することが大切です。

後田 亨 オフィスバトン「保険相談室」代表

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うしろだ とおる / Tooru Ushiroda

1959年、長崎県出身。長崎大学経済学部卒。1995年、アパレルメーカーから日本生命へ転職。営業職、複数の保険会社の商品を扱う代理店を経て2012年に独立。現在はオフィスバトン「保険相談室」代表として執筆やセミナー講師、個人向け有料相談を手掛ける。『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』(青春出版社)ほか、著書・メディア掲載多数。

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