「就業不能保険」とは、どのような保険なのか

長期の休業リスクに備えて検討の余地あり

ローンなどは単身世帯でも無視できない問題でしょうし、傷病手当金の制度がない国民健康保険に加入している自営業者の場合、より切実な問題になりそうです。

長期間の就業不能状態に備える保険には、60日や180日といった保険金支払いの対象外になる期間が設定されています。これは評価すべき点だと思います。短期間で職場復帰できるのであれば、家計への影響は限られていると考えられるからです。

一定期間を超えても働けない状態が続くという「頻発しないかわりに経済的打撃が大きい事態」に保険の対象を限定することで、安い保険料で大きな保障が持てるようになるのです。「保険金がもらいにくい」ことは悪いことではないのです。

役に立つ確率はどれくらい?

実際に、このたぐいの保険が役に立つ確率はどれくらいなのでしょうか。まずは日本経済新聞の表悟志記者による記事「『働けない』に保険で備え 免責期間、定義を確認」(9月21日)が参考になると思います。全国健康保険協会の2014年の開示情報から、傷病手当金が被保険者に支払われる確率は1%程度と推計されています。

元データから補足すると、傷病別件数に占める割合が最も多いのは精神および行動の障害で、約27%となっています。したがって、精神障害に対応していない保険や、ストレス性疾病では入院が60日以上続くことが給付の要件になっている保険から、加入者が給付を受ける可能性は、記事に出ている数字より低くなるだろうと思われます。

加えて、ライフネット生命が開示している保険金の支払い実績も貴重な情報だと思います。2015年度は24人に給付金が支払われています。年初と年度末の契約件数を足して2で割った2万7112件を分母にして給付率を試算してみると、0.09%になります。

180日を超えて就業不能状態が続く場合に給付金が支払われること、精神疾患には対応していないこと、ネットでの加入者が多い同社の場合、中高年の加入者の割合が相対的に低いことから、傷病手当金の1%に比べてかなり低い数字になっているのだろうと推察します。

また、発売後の年数が短いことも影響しているはずです。保険会社の人によると、一般に加入から5年くらいは、契約時に健康状態などが確認される効果が続いていて、給付金等の支払いが少なくなる傾向があるそうです。同社の就業不能保険は2010年の発売ですから、給付率が上昇するのはこれからだと思われます。

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