2つ目の教訓はメディア戦略だ。ベルルスコーニ氏は自身が保有する商業チャンネルを利用した。内容をコントロールできないインタビューを受ける代わりに、好意的な講演者と仕事をしたり、カメラに直接語りかけた。首相からの電話で、多くの政治トークショーが中断された。
トランプ氏は同様に、ツイッターやテレビのトークショーなどを政治活動に活用するだろう。実際、当選後の記者会見の代わりに、優先事項を説明する2分半の動画をユーチューブに投稿した。こうしたアプローチは大統領らしからぬものだが、マーケティングとしては有効だ。
3つ目の教訓は、非常に裕福な人でさえ被害者を装える点だ。ベルルスコーニ氏は在任中にライバルの実業家や政敵、共産主義者らから攻撃を受けている、と一貫して主張していた。トランプ氏も同じことをするかもしれない。
4つ目の教訓は攻撃的な姿勢が予想されることだ。ベルルスコーニ氏はテレビ局や新聞を使い敵対者を攻撃した。ツイッターを使ってトランプ氏がメディアを攻撃したのは、その前兆かもしれない。
5つ目の教訓はベルルスコーニ氏のように、トランプ氏も忠誠を重視することだ。トランプ氏はすでに肉親を活動の中軸に据えた。そして、娘のイバンカ・トランプ氏とその夫のジャレッド・クシュナー氏は、トランブ氏と日本の安倍晋三首相との会談に同席した。
ベルルスコーニ氏よりもひどい可能性
最後の教訓は、ロシアのプーチン大統領のような絶対的指導者から敬意を示されている点だ。ベルルスコーニ氏やトランプ氏のような自己愛に満ちた一匹狼的な人物は、個人的な駆け引きに慣れており、似たような指導者との対話を好むのだろう。
ベルルスコーニ氏が訪問先として好んだのは、退屈な欧州理事会や先進20カ国(G20)首脳会議ではなく、プーチン氏の別荘や、旧リビアの独裁者カダフィ大佐のテントだった。
だが、両者には大きな違いが1つある。
ベルルスコーニ氏には、支援者に便宜を図ることを自身の利益につなげていた以外、在任中に問題はなかった。彼がイタリア人に与えた最もひどい仕打ちは不況を放置したことだが、少なくとも彼はそれを悪化はさせなかった。だが、トランプ氏が同じ道のりを歩めるかは未知数だ。
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