「いじめによる自殺」への残念な対応の実態 子どもたちの苦しみは理解されているのか

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春樹くんが自殺未遂をする数日前に書いた日記には悲痛な叫びが

保護者も学校も“当事者”のため、中立性のある調査委ができればいいのだが、設置には至っていない。慎也さんはこう語る。

「息子も一歩間違えれば死んでいました。このままでは加害者のほうが天国。市教委では“いじめがあったと認識している”が、調査はしないと言うのです」

「教育委員会や市町村は自分たちの責任にしたくない」

学校や市教委、調査委の対応が遺族の納得を得られないことがある。

いじめ問題に取り組むNPO法人『ジェントルハート』理事の大貫隆志さんは初期調査について問題を指摘する。

「(重大事態の)直後にアンケートを取らないと難しい。時間がたつと噂が回ったり口止めされたりして子どもたちの記憶が新鮮でなくなります」

調査委が被害者家族の知らない間に設置されていることも多々あるという。いったい誰のための調査なのか。

「対策委員会はあまり機能できていないのが現状です」

と話すのは、『いじめの構造 なぜ人が怪物になるのか』(講談社)の著者で、明治大学文学部の内藤朝雄准教授。

「いじめ事件で“重大事態”と認定されると、第三者委員会が発足して調査にあたるのですが、被害者の家族ともめるケースは非常に多いです。というのも、地元の教育委員会や市町村は自分たちの責任にしたくないという思いから事実を隠蔽する体質があるからです

『いじめの構造 なぜ人が怪物になるのか』(講談社)の著者で、明治大学文学部の内藤朝雄准教授は、調査委員会などを頼りきることに対して警鐘を鳴らしたうえで、

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