「いじめによる自殺」への残念な対応の実態 子どもたちの苦しみは理解されているのか
死の真相を知ろうと、里美さんは奔走。1週間後に博司くんのスマートフォンのバックアップから一部のデータを復元した。
いじめの有無は不明だが、その可能性を示すLINEでの友人とのやりとりやSNSでの書き込みを見つけた。
《死んでしまいたい》《飛び込みたくなった》
などと、自殺を連想させるような投稿があった。
亡くなる直前、博司くんはSNSに《なんか全部のことにあきらめがついてきました》などと書き残していたことから、何らかの悩みを抱えていたことがわかった。
また、親しい友人複数と頻繁にメッセージ交換をしており、友人からは《君を助けたい》というメッセージも残されていた。
それらのSNSの投稿を見た里美さんは、「いじめがあったのではないか」と学校側に相談したのだった。
「“調査中だから説明できない”は本末転倒」
2013年9月に『いじめ防止対策推進法』が施行。いじめの疑いがある自殺や不登校などの場合、学校や教育委員会が調査することが義務化された。
しかし博司くんが亡くなった後、同校では記名式で「心と身体の健康調査」を行ったものの、いじめ関連の調査は行われなかった。
学校の調査が不十分と感じた里美さんは昨年末、同法に基づく調査を都教委に要望。そして今年1月に都教委は、「いじめ問題対策委員会」のもとに「調査部会」を設置した。都教委としては初めてのケースで、いじめの有無や自殺の原因、学校や都教委の事後対応についても調査するもの。
しかし実施された生徒へのアンケートは遺族が要望した内容ではなかった。「中間報告をしてほしい」という要望も受け入れられず、調査の進捗は不透明。“ずさん”な対応に遺族の不満はたまっていく。都教委は「調査部会があるたびに、遺族に説明をしている」というが、里美さんは「具体的な内容が知らされることはない」と話す。