間違いだらけ!インフルの正しい「怖がり方」 「検査もしないし薬ものまない」という選択肢

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今、インフルエンザの検査をして(+)反応が出るまで、毎日受診する患者さんが後を絶たないという状況です。しかし、ここまでご説明したように、検査が絶対でない以上、せっせと検査して、インフルエンザで陽性が出た人だけ隔離するという今のやり方がいいとは到底思えません。

休める・休ませる体制づくりと予防でできること

ここでひとつ、思考の転換、変化をしてほしいと思います。インフルエンザの検査にばかりこだわるのでなく、感染・伝播予防にはもっといい方法があります。それが以下です。

① 38℃近い発熱があれば休める・休ませる
② 38℃近い発熱がなくても、風邪症状がつらいのであれば休める・休ませる
③ 解熱して出勤するとしても、手指衛生の徹底を指導する
④ 解熱して出勤するとしても、咳エチケットの徹底を指導する

 

まず、検査結果によらず「38℃近い発熱があれば休める・休ませる」ということ、これが一番重要です。そうすれば、感染力のより高い期間は検査では(ー)だけど実は(+)という「隠れインフル」の人でも、職場などに来ないことになります。

学校保健法では、インフルエンザの感染性のある期間として、「症状が出てから5日かつ解熱後2日」と定めています。当然この期間をフルで休むことができれば、より伝播しにくいことは間違いありません。しかし、この期間とて100%感染性がなくなっているわけではありません。感染性のある期間は長いと症状が出てから7日間ともいわれています。

そもそも、インフルエンザだけ取り除けばいい、とそこだけに注目しているのもおかしくはないでしょうか?ほかの感染力の強い風邪だってたくさんあるわけです。

こういうと、「現実問題、熱があるくらいで、仕事を休めるはずがない」という声もたくさん聞こえてきそうです。しかし、そこまでして職場に出て、病気を蔓延させれば、組織全体の仕事に支障をきたします。

高熱があって感染性の高い病気かもしれないのに、仕事に出てこなくてはいけない会社のリスク管理は一体どうなのか?一度、管理職の方などには真剣に考えてみてほしいのです。

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