このあふれかえる患者に対応するために、大して診察もできぬままに「まずは検査をして、(+)なら抗インフルエンザ薬を処方。(-)だったら抗菌薬……」と自動販売機でもできるような診療となっています。
インフルエンザの診断が”絶対視”されているのか、近年、検査で(+)が出るまで毎日でも病院に通う人が非常にたくさんいます。しかし、インフルエンザもそうですが、ウイルス感染症でウイルス量が多いのは発症して高熱が出ている最初の期間です。その時期にせっせと病院通いすると、伝搬してしまうリスクがあります。
しかし、「インフルエンザも自宅療養が可能」と認識してくれる方が増えれば、過度な外来受診による感染を防ぐことができます。インフルエンザ流行のピークの波の高さをワンランク下げることだって、十分可能と思います。
実は自然によくなる人がほとんど
では、ここでより丁寧に考えてみましょう。インフルエンザは急な高熱・関節痛などが特徴ですが、風邪同様に気道感染です。なので、風邪と区別がほとんどつかない人がそれなりにいます。
しかも、意外と知られていないのですが、実は自然によくなる人がほとんどなのです。
抗インフルエンザ薬といってもウイルスの増殖を抑える作用のものですので、ウイルスを死滅させるベストな薬では現時点ではありません。よって、後述する重症化するハイリスク患者でなければ、1日早く解熱するかも?程度とされています。インフルエンザといってもほとんどは自然によくなる特効薬の無い疾患であり、風邪の一型ととらえることができるのです。
しかし、インフルエンザといえば、怖い病気、死につながることもある病気とされており、その違いを丁寧に理解することが大切です。インフルエンザは以下の点で通常の風邪とは異なり、ハイリスク患者にあたる人の場合は注意が必要です。
2. インフルエンザは下気道感染症(肺炎)を起こしうるハイリスク患者層がある
3. 抗インフルエンザ薬が存在し、十分な効果は示されていないがその恩恵を受けるハイリスク患者層がある
4. 毎年大流行を起こし、社会的な影響が大きい
この特徴から、インフルエンザは可能なかぎり通常の風邪と分けて考えるようにしたほうがよいハイリスク患者層がいる、と考えることが重要です。
では、ハイリスク患者層とはいったいどのような人でしょうか?CDC(アメリカ疾病管理予防センター)は、ハイリスク患者として以下をあげ、抗インフルエンザ薬による治療を推奨しています。自分や家族がここに当てはまるか?をチェックしてみてください。簡単に言えば、以下のハイリスク患者に当てはまらなければ、抗インフルエンザ薬は必須ではありません。
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