間違いだらけ!インフルの正しい「怖がり方」 「検査もしないし薬ものまない」という選択肢

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高熱がある場合や風邪症状があり体調がすぐれない場合は飲み会への参加も厳禁です。閉鎖空間で長時間ワイワイつばを飛ばしながら話し、みんなで同じお皿にはしを入れて食べると、感染しやすくなります。感染症コンサルタントとしてかかわっていると、飲み会をきっかけに感染拡大となっている事例に多々出合います。

徹底するだけで、ずいぶんと感染が予防できる

また、意外と軽視されているのが、アルコールでの手指衛生や咳エチケット。実はここを徹底するだけで、ずいぶんと感染が予防できます。感染予防グッズに関しては、病院より薬局のほうが充実していますので、ぜひ相談してみてください。

そしてもうひとつ。インフルエンザのワクチン接種は忘れないでください。ハイリスク患者本人のワクチン接種は当然ですが、ハイリスク患者と同居している家族(ハイリスク患者に接する人)もワクチン接種は必須です。

「注射をしたのに感染することがあるから注射しない」という人が結構いますが、インフルエンザワクチンは65歳未満の健常成人での発症予防は70~90%とされます。100%予防できるものではありませんが、効果が無いというほどダメなものではないのです。あと、ワクチンを打ったから安心という姿勢もよくありません。ワクチンを打っても手指衛生などはしっかり継続してください。

このように、予防としてやれることをしっかりしていても、残念ながらインフルエンザを100%回避することはできません。ただし、やれることをやってインフルエンザになって休まれるのと、何もやらずに休まれるのとでは、ちょっと違いますよね。

最後に、このような知識をもって、そのメリット・デメリットを踏まえたうえで、「やはり病院に行く」と選択することは、もちろん否定するものではありません。(行く際は前回記事で書いた「レッドフラッグサイン」を参考にしてください)

でも、もし病院に行ったけども、「ハイリスク患者でなければ検査もしないし薬も出さない」と言われたとしても驚かないでください。そのような先生は何もしてくれないひどい先生ではなく、“医者もどき(physicianoid)”でもありません。インフルエンザについて真摯にとらえ、むしろ丁寧に診察し、検査・治療のメリット・デメリットをあなたのためにだれよりも考えて説明してくれている先生かもしれないのですから。

岸田 直樹 医師、感染症コンサルタント

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きしだ なおき / Naoki Kishida

1995年東京工業大学理学部中退。2002年国立旭川医科大学卒業。手稲渓仁会病院総合内科・医学教育フェロー、静岡県立静岡がんセンター感染症科フェローなどを経て、2010年より手稲渓仁会病院で感染症科チーフ兼感染対策室室長を務める。2014年4月、医療におけるエンパワメントを推進するため、一般社団法人SapporoMedical Academy(SMA)を立ち上げ、代表理事に就任。日本感染症学会専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医。「良き医学生・研修医教育が最も効率的な医療安全」をモットーに、総合診療をベースに感染症のスペシャリティーを生かして活動中。「自分が実感し体験した臨床の面白さをわかりやすく伝える」を目標に、感染症のコンサルタント、研修医・薬剤師・看護師教育など全国各地で多数の回診・講義を行なっている。著書に『誰も教えてくれなかった“風邪”のみかた』(医学書院)、『総合診療医が教える よくある気になるその症状レッドフラッグサイン』(じほう)などがある。趣味は温泉めぐり、サッカー観戦(インテルファン)、物理学、村上春樹
 

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