「ブロックチェーンで世界一」という巨大野望 急拡大するビットコインの今とこれから

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塩野:夢のトレーダーとして、ヘッジファンドみたいな形で先進的なストラテジーで相場を張らせてもらっていた。それから2年ちょっとで、ゴールドマン・サックスに戻るわけですが、どんな経緯で?

加納:先輩に誘われました。やはりトレーダーチームからのお誘いだったのでこんなチャンスはなかなかないと思って戻ったのです。

塩野:デリバティブ部門の担当になってどうでした。

加納:思った以上に厳しい環境でした(笑)。やっぱりゴールドマン・サックスが証券業界でナンバーワンを維持できる理由である「収益追求」のプレッシャーがすごかったですし、一流の人材がそろっていてその中で競争があります。

塩野:トレーダーになりたい人にアドバイスをするとしたら。どんな人が向いているでしょう。

加納:数字に強いこと。おカネに対する執着心は必要です。機会を見つけてアイデア考える。おカネに興味がないと、しんどいと思います。

塩野:投資機会が訪れるのを知るには、何を勉強すれば良いのでしょう。

加納:ミリオンダラー・クエスチョンですね(笑)。企業や、ビジネスに興味を持ちながら、「この株安いな、安いからには何かあるのではないか」など推測できる人。PBR(株価純資産倍率)が0.5だからと食いつくとやられます。そういうのを徹底的に調べて、将来が見えているのが大事なのかなと。あとはリスクが取れる根性!

バーナンキ発言が創業のきっかけに

塩野:ここからが本題です。なぜビットコインの世界に?

加納:2010年にゴールドマン・サックス社内で大変話題になりました。仕組みもすごいし、仮想通貨の発想もすごいなと。

塩野:もうその時点で話題になっていたんですね。

加納:当時はビットコイン自体もすごく安くて、僕は「こないな」と思ったんです。国家に潰されるだろうなと。

塩野:貨幣と軍隊は国家権力の源泉ですからね。

加納:静観しつつ、定期的にチェックをしていたのですが、2013年に見直したら、当時の何十倍にもなっていた。そこに、当時の連邦準備制度理事会(FRB)議長のベン・バーナンキさんが「ビットコインは長期的には可能性を秘めている」という見直し発言をしたんです。2013年の11月でした。

塩野:あれは突然でしたね。

加納: FRBがそんなことを言うわけがないと思っていましたから。それで、1カ月くらいで価値が10倍になった、アメリカがオッケーならば日本もとうぜんオッケーになるだろう。政府のお墨付きあれば、ユーザビリティが上がり、想定ユーザーも10億人を超えるだろうと考えました。「ブロックチェーン」(ビットコインの取引を保証する仕組み)の概念はノーベル賞級だなと興奮しました。ビットコインも可能性があると2014年の1月に創業したんです。

塩野:ビットコインの窓が開いたと思ったわけですね。

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