加納:ですが、創業時がピークでした(笑)。
塩野:すぐにビットコインの世界において取引高シェアの80%を握っていたというマウント・ゴックスによるビットコイン消失事件が起こりましたね。マルク・カルプレス社長の説明は虚偽で、結局は逮捕された。
加納:事件が起きて、終わったなと思ったんです。当時は「ビットコイン悪者説」があって、仮想通貨に対する信頼が大きく揺らぎました。ただ、僕なりに調べてみても、当時言われていた取引の脆弱性(トランザンクション展性)による消失である確率はかなり低いと思っていまいた。
塩野:結果的には社長個人の横領という決着でしたね。
加納:まだ判決がでていませんが。ビットコインの仕組みが駄目でないと確信があったので、暴落した時にしこたま買ったんです。
塩野:さすがトレーダーですね。ビットフライヤーという会社はどんなビジネスモデルなんでしょう。
加納:ビットコインの販売所と取引所の運営です。最初は取引所を作ったのですが、日本はビットコインの流動性を供給する主体がないので、自分たちがリスクをとる形で販売所を先にリリースしました。
塩野:取引所と、マーケットメイクする販売所の両方を作ったということですね。
加納:創業から2年は鳴かず飛ばずでしたが、2015年の冬から取引のボリュームが盛り上がってきました。
ビットコインの信頼が回復
塩野:仮想通貨を規制した改正資金決済法が今年の5月に可決されて、来年6月3日までに施行されますね。
加納:ビットコインなどの仮想通貨を支える技術であるブロックチェーン・テクノロジーを元に、大手金融機関向けの金融基盤アプリケーションを開発するR3というスタートアップがニューヨークに生まれました。共通のインターフェースができて、大手の外資金融がみんな乗っかってきて潮目が変わりました。ビットコインが再評価され、事件についてはマウント・ゴックス社長による犯罪とわかったことで、信頼も回復しました。
役所や政府がビットコインの可能性を論じ出していますし、メディア露出も増えてきて、そこからは右肩上がりですね。
塩野:新しいテクノロジーを元にした世界に移ったわけですが、加納さんにとってはその選択肢は自然なものだったんでしょうか。
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